キャプテン・アメリカがソーのムジョルニアを持ち上げられるかどうかは『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』以来観客をやきもきさせてきた宿題だったが、ついに『エンドゲーム』でキャップはムジョルニアを持ち上げ、相応しい男であることが証明される事になっていた。そこに矛盾が生じてしまった。

 あの血沸き肉躍る最終決戦の白眉とも言うべき場面は、2015年に脚本家チームによって提案されて以来一度も捨てられず残っていた。クリストファー・マクフィーリーが言う。

「その問題にどう対処すべきかと話し合いになったときがありました。『バトルロイヤル』で、ソーはハンマーを持たずに稲妻を召喚できることになってしまいましたから。『ハンマーは関係なかったのだ』というオーディンの台詞すらあったと思います。でも『エンドゲーム』ではキャップがハンマーを手に稲妻を召喚することになっている。しかしこういった問題に直面してしまっても『やめるにはかっこよすぎるだろ?後で考えようぜ』と思っていますが」

マーベルの壮大な世界観は
即興アプローチから作り出された

 そんな即興アプローチこそが、MCUという宇宙の特徴だった。『ドクター・ストレンジ』(2016)の脚本家C・ロバート・カージルは、こう言っている。