「ウェルビーイング」は、1948年の世界保険機関(WHO)設立の際に考案された憲章で、初めて使われた言葉。「幸福で肉体的、精神的、社会的全てにおいて満たされた状態」をいいます。新しい幸せの形として用いられ、最近さまざまな場面で耳にすることが多くなりました。連載『ウェルビーイングの新潮流』第12回では、踊りがもたらす幸福感について、さまざまなケースを見ていきます。
「たくさんの愛が
ドジャースを勝利に導いた」
米大リーグのワールドシリーズで今年優勝を果たしたドジャース。メンバー同士の強い絆により生み出されたチームの一体感こそが、スター選手が数多く在籍し、個々の高い能力が光るヤンキースを制したポイントだといえるのではないでしょうか?
優勝を決めた敵地ニューヨークでの第5戦では、5点ビハインドを跳ね返し、頂点に立ちました。
MVPトリオの一人であるベッツ選手は「明らかにうちのチームにはリカバリーする力があったが、それよりもこのチームにはたくさんの愛がある。それが今日の勝利を導いた。愛なんだ。本当にビューティフルなものだ。誰かが故障で欠ければ、誰かが埋める。誰かの不振は誰かがカバーする。シーズン通して貫いてきた精神で勝ち取った世界一だ」と語り、胸を張ったと報道されています。
この発言からもわかるように、今年のドジャースは、欧米では一般的な自分の成績を第一に考える個人主義による利己のマインドよりも“愛”という利他の精神がチーム全体に浸透していた、極めてウェルビーイングな組織でした。その姿勢こそが、彼らの強さの原動力だったことは間違いありません。