“皆で踊る”日本の盆踊りが
幸福感に満ちた場である理由
もちろん運動やダンスなど体を動かすこと自体で、自尊心を高めるホルモン「テストステロン」を上昇させ、逆にストレスホルモンであるコルチゾールが低減するという研究は数多くあります。しかし、今回の実験ではそれに加えて、他人と一緒にシンクロしながら踊ることでエンドルフィンが分泌されることが分かりました。
おそらく、ドジャースの選手たちも毎試合短い時間でも皆で「キケポーズ」を踊ることでエンドルフィンが分泌され、チームの一体感の高まりに何らかの貢献をした可能性があるのではないでしょうか?
ウェルビーイングにおいて重要な「他者との関係性」がこの踊りという行為に関しても大きな意味を持つということは非常に興味深いと思います。
世界中の至るところに“皆で踊る”という文化風習がありますが、それが人々のウェルビーイングの実現に大きな役割を果たしていたという事実は、太古より人は幸せを求めていたということを改めて示しています。
まさに、日本の夏の名物である盆踊りは、町内が連帯感を持って楽しむ幸福感に満ちた場であるということです。
「阿波踊り」「西馬音内盆踊り」と並ぶ日本三大盆踊りである「郡上おどり」は、岐阜県郡上市の郡上八幡のまちを中心に、江戸時代から続く盆踊りです。若者からお年寄りまで、熱狂的なファンが多く、誰でも踊りの輪に飛び込んで参加できるこの場は、今では貴重となった「徹夜踊り」の民俗を継承し、お盆の4日間を連続で踊り明かすのが特徴です。
実験で明らかになったように皆で踊ることによって分泌される「エンドルフィン」がある種のトランス状態をもたらし、4日もの間、踊り続けることを可能にするのかもしれません。