『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え』の著者で、資産20億円、“日本のバフェット”といわれる藤本茂さん(シゲルさん)。そんなシゲルさんに初心者におすすめの銘柄と、投資に「向いている人」と「向いていない人」の特徴を聞いた。(ライター 松田小牧)
初心者におすすめの
銘柄3選とその理由
資産20億円のデイトレーダー、シゲルさんに、初心者にお薦めする株をたずねた。すると返ってきた答えは、「長期的な増収・増益・増配が見込める銘柄であれば、何も怖くない」というものだった。
「そのような株であれば何でもいい」との前提のもとシゲルさんが薦めるのは、竹内製作所、岩井コスモホールディングス、ジーテクトだ。
まず竹内製作所は、10月に発表された決算で営業利益前年同期比46.5%増となったものの、そのほとんどが海外での売り上げであることが不安材料視され、5月に6700円をつけた株価が、現在は4700円台付近を推移している。円安が進むいまも、回復基調にはあるが戻り切ってはいない。PERは10倍以下で、配当は4%を超える。
シゲルさんは、同じく円安恩恵銘柄とされる自動車業界に比べても同社株の戻りが遅いと考える。その背景として、「4月に出来高が急増したことも影響しているやろうね」と話す。
一般的に「信用取引はリスクが高い」といわれるが、個人の株式取引の約7割が信用取引を活用しているとのデータもある。ついては出来高が多いということは、信用取引の件数も多いことが想定される。
そして制度信用取引では、買い建て、売り建てのどちらにおいても6カ月後にその返済期限が来る。つまり4月に買ったけれども思うように株価が上がらず、保持していたものの10月に入って期限が迫り、売らなければならなくなったために株価がそこまで上がらなかったのだろう――という見立てだ。
次に挙げた、岩井コスモ証券を傘下に持つ岩井コスモホールディングスは、10月25日に発表した決算発表で営業利益前年同期比28.5%増を記録した。しかし8月の大暴落で1590円まで下げた後、まだ3月につけた高値までには至っていない。PBR1倍以下、PER10倍以下と、指標的にも割安だ。「竹内も岩井コスモも業績が良い株なんやから、絶対にいまの値段は狙い目」と話す。
ジーテクトに関しては、11月に発表された第2四半期決算では営業利益がマイナス14.8%となり、株価は下落した。しかしシゲルさんは、「これは長い目で見たらいい株。長期的に付き合う株やね。配当も4.5%を超えている。配当をもらって待っておけばいい」と話す。