世の中には、チャンスを掴んで成功している人たちがいる。一方で、頑張っても頑張っても、なかなかチャンスを得られない人もいる。その違いはいったい何なのだろうか。努力か、才能か、それとも運か。「2ちゃんねる」の開設者であり、実業家であるひろゆき氏は、「『余裕』を持っていないとチャンスを掴むことができない」と語る。現在はフランスで暮らしながら、自由に生きているひろゆき氏が考える、「チャンスの掴み方」とはどのようなものだろうか。著書である『1%の努力』の内容をもとに、解説する。 (文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
頑張りすぎるとチャンスを逃す
「頑張りなさい」「一生懸命取り組みなさい」。
多くの人は、子どもの頃からそう言われて育ってきているのではないだろうか。
そのせいか、「頑張ればなんとかなるかもしれない」と思っている人は多い。
筆者もその一人だ。どうしても手にしたい目標があればそれに向かって努力をすれば良いと思いがちだし、それに手が届かなかったときは「頑張りが足りなかった」と考えてしまう。
しかし、本を読んで知識を蓄えたり、一生懸命人脈を広げたり、情報のアンテナを張ったりという努力は「チャンスが訪れる可能性を高めること」であるという。
しかし、「チャンスは一瞬で目の前を通り抜ける」とひろゆき氏は指摘する。掴めるかどうかは、別の問題なのだ。
ひろゆき氏はチャンスについて、次のように考えている。
また、順風満帆な人生にピンチがやってくるときもある。
そんなときも、スケジュールに余白がないと頭の中はパンクしてしまい、視野はどんどん狭くなる。
ヒマは全力で作っておいたほうがいい。時間は余るものじゃない。作り出すものだ。(P.59)
チャンスを掴むには「少なくとも片手は空けておく」
頑張りすぎて、あれもこれもと抱えすぎていると、チャンスが訪れた時に対応できないということだろう。
これには、筆者も覚えがある。
フリーランスとして働いていると、仕事の依頼が来るのはとても嬉しいことだ。
そのため、限界まで受けてしまい、いっぱいいっぱいになってしまうことも少なくない。
しかし、そういう時に限って「いつか担当してみたい」と思っていたジャンルの仕事が入ってきたりする。
そうなると、無理を承知で引き受けるか、泣く泣く諦めるかの2択だ。どちらを選んだとしても、涙をのむことになる。
そういった人に向けて、ひろゆき氏は次のように語る。
「努力で解決しよう」「頑張ればなんとかなるかも」と考えている人は、つねに両手が塞がっていてチャンスを取り逃がす。(P.60)
頑張りすぎるあまり、チャンスが訪れた時に身動きを取れない状況になってはいけないのだ。
「チャンスを掴める状態にしておくこと」が重要
ひろゆき氏は、例として、サッカー選手の本田圭佑さんが語った話を挙げる。
つまり、チャンスを掴む練習をするよりも、いつでも掴める状態にしておくことのほうが重要だと、本田氏も語っている。
例えば、事業を始めようとする場合も同じだ。
ひろゆき氏は「なけなしのお金をかけて起業したり、自分の生活を追い込むようなパターンは、おすすめしない」と注意喚起する。
世間には学生起業して成功するIT起業家もいるが、「彼らは決して無の状態で大学を中退して自分を追い込んだわけではない」という。
確かに、「ビジネスをするぞ!」と先に大学を中退してしまうと、ビジネスがうまくいかなかった時に、目も当てられない状態になってしまう。
あくまでも、ビジネスがうまくいった結果の中退なのだ。
努力だけが成功の秘訣ではないと知ろう
ひろゆき氏はどのようにしているかというと、「『面白いな』と思ったビジネスにとりあえず出資することがある」と語る。
それは、「遊びの延長であり、そこの輪に入るための入場料を支払う感覚に近い」という。
ビジネスチャンスが訪れた際に、「その人たちの近くにいる」ということが大事なのだろう。
「チャンスの神様は前髪しかない」という話がある。だからこそ、いざ現れたときに前髪をパッと掴めるポジションを取っておく必要があるのだ。
それは、きっと努力や頑張りとは別の話で、目の付けどころの良さやフットワークの軽さなどが生きてくるのかもしれない。
「片手はつねに空けておけ」。
ひろゆき氏のこの言葉は、チャンスを逃さないためにも、心に留めておきたいものである。