中国の習近平国家主席は人民解放軍に対し、台湾を掌握する準備を2027年までに整えるよう命じている。習氏が台湾侵攻を始めるかどうかは、ドナルド・トランプ米次期大統領が起用する国防長官次第かもしれない。トランプ氏が次期国防長官に指名した退役陸軍州兵でFOXニュース司会者のピート・ヘグセス氏は、上院で承認されれば、欧州と中東における抑止力の崩壊や、資源に制約を課す連邦議会の対応、新兵募集の課題、インド太平洋地域のパワーバランスの悪化などの問題に立ち向かうことが求められる。平和を促進する唯一の方法は、初日から戦争に突入することだ。ただし、相手は中国でもロシアでもイランでもなく、国防総省の官僚機構だ。最初の任務は米海軍の立て直しになる。米国は、中国の海事産業基盤に対抗できる同様の基盤を必要としている。国防総省が定める海洋資産の建造要件に関わる利害関係者は、あまりにも多く、まとまりがない。国防総省は艦船1隻当たりのミサイル搭載数といった戦闘要件を定めているが、そうした艦船の重心などの相互依存関係にある技術仕様を考慮していない。技術仕様が戦闘要件としっかりかみ合っていない場合、その不整合のために性能不足や想定外のコスト、時間がかかる事態を招くことがある。国防総省は、1960年代まで海軍に役立っていた委員会モデルに立ち返るべきだ。かつての海軍には上位の利害関係者で構成する会議があり、委員長は要件と仕様の両方を決定する権限を与えられていたため、この二つが調和した形で機能するようになっていた。
【寄稿】第3次大戦回避へ、米国防総省に残された2年
次期国防長官に指名のヘグセス氏、侵攻止めるには官僚機構刷新と無駄の削減が必要に
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