日本に来ている留学生は、週28時間までなら「資格外活動」という立場で単純労働が認められている

吉田:確かに専門職って感じしますね。でもおかしいじゃないですか。コンビニやレストランの店員さんにも外国の人はたくさんいますよ。

アカツキ:専門的な知識やスキルを持つ店員さんもたくさんいるが、入国管理法はコンビニやレストランのアルバイト、工場や建築現場の作業員といったいわゆる「単純作業」に外国人を雇用することを原則的に禁じている。ただ例外もあって、日本に定住している人の家族や勉強のために日本に来ている留学生は、週28時間までなら「資格外活動」という立場で単純労働が認められている。飲食店やコンビニで見かける外国人労働者はこの形が多いようだ。それから、農業や漁業、建築の現場や、食品加工など様々な工場で働いている外国人は、1993年に始まった「技能実習生」という立場で日本に来ている人が多い。これは雇用ではなくて、日本の進んだ技術を学んでもらう……という建前で働いてもらっている制度だ。実際には、若者が減り労働力が足りない日本にとって欠かせない戦力になっているんだがな。

吉田:それって完全に言い訳じゃないですか。働く人が足りないなら、実習生なんていうウソの名前をつけずに、ちゃんと「日本で働いてください」ってお願いするべきですよ

新制度の「育成就労」では、何が変わるの?

アカツキ:吉田の言う通りだ。そこで政府は技能実習生制度を廃止し、代わりに「育成就労」という制度を創設することを決めたんだ。

政府が移民「超拡大」の新制度導入を決定! 「10人に1人が外国人」となる日本を襲う「治安悪化」と「職の奪い合い」の懸念

吉田:行くぜー柔道!? イヤな制度を一本背負い、むかつく上司に送り襟絞めってことですか。

アカツキ:暴力で解決するのは感心しないな。新制度の育成就労では、目的としてはっきりと「外国人材の育成と確保」を掲げることになった。育成就労で3年間働くと「特定技能1号」という資格に切り替えることができ、さらに5年間働いて「特定技能2号」という資格を取れば、家族と一緒に暮らし、期限を限らず日本で働き続けることも可能になる。「特定技能」全体の受け入れ枠も拡大し、今後5年間の受け入れ見込み数を、過去5年間の2.4倍にあたる82万人にする方針だ。政府は育成労働を、外国人労働者を広く受け入れ、将来的に永住できる道を広げる制度にする考えする考えで、国立社会保障・人口問題研究所の推計では2067年には日本で暮らす外国人が今の約3倍に増え、人口の10.2%が外国人になる見通しだ。

吉田:10人に1人が外国人!! そんなに増えたら日本人の仕事が奪われちゃいませんか。僕心配です

アカツキ:確かにな。日本が元々外国人労働者の受け入れに慎重だったのは、「日本人の職が奪われる」とか、「外国人労働者を受け入れると治安が悪化する」といった国民の懸念が原因だ。方針を変えたのは、それだけ労働力不足が深刻ということだ。

吉田:なんでそんなに急に軌道修正したんですか。もしかして、首相の家で働く外国人家政婦に、見られてはいけないシーンを見られてしまったんじゃ……。

アカツキ:そんなわけないだろ。

※本稿は『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

※吉田くんとアカツキ先輩が活躍中のアニメ連載「そもそも?知りたい吉田くん」は朝日新聞デジタルで読むことができます。