「家計を見てほしい」どうやって妻に伝える?
――確かに、これまで家計を見てきた夫から、改めて妻に「家計を見てほしい」と切り出すのは難しそうですね。言い方次第で角が立つ……。
そうなんですよ。だから、伝え方が重要です。「忙しくて家計を見る時間が取れないから、一度やってみてくれない?」とお願いする形がいいと思います。一度奥さんが実際に管理してみると、その大変さが分かるかもしれないですし、案外上手にやりくりしてくれるかもしれません。
――もし奥さんがやってみた結果、やっぱりうまくいかなかったら?
それならそれで、話し合いを重ねるべきです。夫婦って「得意なことを分担する」のが理想ですからね。ただ、20年も旦那さんがやってきたことを突然奥さんに任せると、奥さんの中には嫌がらせと受け取る人もいて、嫌々やるのでうまくいかない。その誤解を解くためにも、じっくり対話することが必要です。
夫は専業主婦をとても評価している
――この方の考え方は「古い」のでしょうか?という問いかけもありました。
いいえ、むしろ逆です。この考え方は、専業主婦をとても評価している新しい考え方なんですよ。家計の維持というのは、家庭における最も重要な役割の一つです。国で言えば大蔵省のような存在……いまは財務省かな。その中枢を任せるということは、実は、最大級の信頼を示しているんです。
――でも、なかなか任せられない現状がある。
そうなんです。20年という長い期間、お互いに誤解が生まれている可能性がありますね。例えば、奥さんの側からすれば「夫は、本当は私に家計を任せたくないのだろう」と思っているかもしれない。逆に「やらなくて済んでラッキー!」と思っているかもしれない。
――どちらにしても、コミュニケーション不足が原因なわけですね。
はい。ただし、この場合は単なる話し合いだけでは解決しないかもしれません。というのも、家計管理というのは、実際にやってみないとその難しさや重要性が分からないものなんです。