【今すぐチェック】老後資金が1分でわかる「すごい計算式」
総務省の調査によれば、老後1か月の生活費は、60代の世帯で約30万円、70代以上の世帯で約25万円かかると言われている。仮に90歳まで生きるとすれば、60歳からの30年間で9600万円が必要になる(30万円×12×10+25万円×12×20)。病気や介護といった問題も無視できない。
本連載は、終活や相続に関するノウハウを紹介し、「お金の不安」を解消するものだ。著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超えている。この度、5000人の声を集めたエンディングノート、『ぶっちゃけ相続 お金の不安が消えるエンディングノート』を出版する。銀行口座、保険、年金、介護、不動産、NISA、葬儀といった観点から、終活と相続のリアルをあますところなく伝えている。お金の不安を解消するためのポイントを聞いた。
「死ぬまでにお金がいくら必要?」がすぐわかる!
公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、老後に不安を感じる人の割合は実に82.2%です。具体的な内容をみると、「公的年金や退職金だけでは不十分」「配偶者に先立たれると経済的に苦しくなる」といった、お金に関する不安が大半を占めています。
しかし、こういった不安は杞憂に終わる傾向にあります。私はこれまで、5000人を超える方から相続や終活についての相談を受けてきましたが、老後にどれほどの資金が必要かを具体的に計算されている方はほとんどいらっしゃいません。
実際に、ライフプランのシミュレーションを作成すると、多くの方が、「贅沢しすぎなければ資金が足りなくなるわけじゃなさそう」という感想を持たれます。老後資金が足りるかどうかは、次の計算式で判定できます。
この計算式でチェック!
①今ある貯蓄額+(②月々の収入-③月々の支出)×12か月×余命年数-④老後にかかる大きな支出
計算の結果、プラスであれば足りる、マイナスであれば足りないということです。
例えば、現在65歳で2000万円の預貯金があり、毎月の年金収入が25万円、毎月の支出が30万円、大きな支出見込みとして、家の耐震リフォーム代300万円、お墓じまい100万円、配偶者の葬儀代100万円がかかる方がいたとします。もし100歳まで生きるとすると、次のように計算できます。
2000万円+(25万円-30万円)×12か月×35年-300万円-100万円-100万円=-600万円。
100歳まで生きる前提であれば600万円足りませんが、90歳までであれば、ピッタリゼロ円になりますね。
計算式がマイナスになっても大丈夫
計算の結果、マイナスになったとしても悲観的になる必要はありません。マイナスの金額が明確になれば、不足額を捻出するために、支出を減らしたり、無理のない程度に収入を増やしたりするなどの方法を検討することができます。
一番よくないのは、このような現実を見ようとせず、“漠然とした不安”にしてしまうことです。「預貯金」「収入」「支出」を把握し、そのバランスをよく考えてみましょう。
(本原稿は『ぶっちゃけ相続 お金の不安が消えるエンディングノート』を一部抜粋したものです)