特に詳細な批評が繰り広げられているのはそれこそSteamの『HD-2D版 ドラクエ3』カスタマーレビューで、かなり辛口な評価をつけている人もいるが、ただのドラクエアンチがくさしているようなトーンではなく、その多くがドラクエを愛してやまない人が落胆しているケースや、ゲーム慣れしていて原作リスペクトもある人が苦言を呈しているケースであった。裏を返せば、それだけ多くの愛と期待の中で世にリリースされたゲームだったということである。
賛成派と否定派が共に
「いい!」と思った点とは?
興味深いのは、本作に対して肯定的な人・否定的な人の双方で「いい!」と挙げている点と「ここはダメ」と挙げている点が、おおむね重なっていて一緒なことである。つまり「いい!」が強く出て「ここはダメ」な箇所が許容できる人にとっては高評価のゲームとなるし、そこが許容できなければ低評価となる。
高評価勢・低評価勢が共通して「いい!」と挙げているのは以下である。
・グラフィックがきれい
・キャラの特技、エピソード、ボスなどの各種追加要素が楽しい
・オーケストラ生演奏音源によるBGMが素晴らしい
作品名にも含まれている「HD-2D」というのは、ドット絵と3DCGが融合した、超美麗で奥行き(3D)感のある2Dゲームのグラフィックである。
2Dというのは、原作ドラクエ3を含むレトロゲームに典型的な”上下左右”の世界観である。一方、最近のゲームはだいぶ3Dのものが主流になってきていて、これは”上下左右”に”前後”が加わった立体的な世界観である。
HD-2Dはスクエニの『オクトパストラベラー』というゲームで導入・確立された手法で、現代風の美しく3次元的な世界の中をキャラが上下左右・2次元的にレトロチックに動くというものである。これがとても評価された。