高評価勢の中で特徴的に多かったのは「なぜこれほど悪評が聞こえてくるかわからない。普通に良ゲー・神ゲー」という声で、低評価勢の意見で多かったのは「この完成度で約7700円のフルプライスは高い」というものであった。

 初めてドラクエシリーズをプレイする10代の若者が「面白い」と言っていたり、『ドラクエ3』という名作を愛する往年のファンが「リメイクでも文句なく100点満点の出来を披露して万人を黙らせてほしかった」とこぼしていた様子を見たりするにつけ、「どれくらいの期待をかけていたのか」も作品への評価を大きく左右しそうである――と感じた。

 プレイしている年齢層はいかほどのものなのか。やはりよく言われる通り、原作をリアルタイムでやっていた現在30~40代の中年プレイヤーが多いのか。

 ここは順当に、やはり30~40代のプレイヤーが主軸となっているが、若い世代がまったく取り込めていないかというと、そうでもなさそうである。発売日当日に店頭で並んだ人から「行列の年齢比は自分世代(3~40代)と若い人の半々だった」との話を聞いたり、ゲームをやる周りの若い人たち(10~20代)のアンテナに『HD-2D ドラクエ3』は引っかかるようで、一定以上の興味を持たれたりしている。

中年ゲーマーが夢見る
「全世代に愛されるドラクエ」

 筆者自身が40代のバリバリ中年ゲーマーなので、聖なるゲーム・ドラクエに加齢臭をつけすぎないように一定の距離をおいて応援しているし、若い人によるものであろう「現代ではドラクエは老人のやるゲーム」といったネットの雑な暴言を謙虚な気持ちで受け止めなければならないと己を律しているが、若者もドラクエを好いてくれるならひょっとして……と、ドラクエが全年齢に愛される世界を夢見ていいのかもしれない気がしてきた。そういう可能性を感じさせてくれたのが、今回の『HD-2D ドラクエ3』であった。

 なお、ドラクエシリーズの『1・2』は時系列では『3』のあとに当たり、HD-2D版『1&2』は2025年に発売が決定している。すっかり中年になった今でも、あの冒険の日々が続いてくれることが何よりうれしい。