厚生労働省によれば、要介護・要支援認定を受けた方のうち17%が施設等へ入居しています(平成25年度調べ)。裏を返せば、介護が必要な方であっても8割以上の方が在宅介護を続けていることになります。

 内閣府によれば、施設に入りたくない理由1位は、「住みなれた自宅で生活を続けたいから」、2位以下は、「施設で他人の世話になるのは嫌だから」「他人との共同生活はしたくないから」「施設に入るだけの金銭的余裕がないから」が続きます。

認知症と介護の切実な問題

 在宅を継続するか、施設に入居するかは、あなたのライフプランを考える上で、最重要項目の一つです。ただ、最期の時まで自宅にいたいという意向を持つ方であっても、施設に入居せざるを得なくなる可能性があるのは知っておくべきです。認知症が進行し、在宅介護を継続すると重大事故につながる恐れがある場合には、24時間体制で介護してくれる施設への入居を検討するべきでしょう。

 具体的には、火の始末ができなくなった、お風呂に一人で入ることが難しくなった、一人歩き(徘徊)をしてしまうなどの症状が表れたら、在宅介護の限界と言われています。2025年には、高齢者のうち5人に1人が認知症になるという推計もあります。

 お元気なまま最期の時を自宅で迎えられるのが理想ですが、現在、認知症の発症率は、「65歳以上」は16%、「85歳以上」の男性は35%、女性は44%、「95歳以上」の男性は51%、女性は84%であることが明らかになっています。

 また、認知症を発症したら、相続対策はできなくなると考えてください。認知症になった人は、法律上「意思能力のない人」と扱われる可能性があります。意思能力のない中で行われた法律行為(遺言書を書く、生前贈与をするetc)はすべて無効で、法的効力を持ちません。

 認知機能が低下してしまう前に、施設に入ることになった場合を想定し、あなたにあった施設選びをしておくことが大切です。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続 お金の不安が消えるエンディングノート』を一部抜粋・編集したものです)