「円安?」「国債?」「チャットGPT?」よく耳にするけれど、実際のところ何のことなのか、何が問題なのかわからないまま……そんな今さら聞けないニュースや用語の数々を、どこよりも楽しく、そしてわかりやすくご紹介します!大人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんが新聞記者となって、世の中の経済ニュース・時事用語を基本からていねいに紐解き話題となっている書籍『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』の中から一部を抜粋、編集してお伝えします。(構成/上栗崇)
本連載は、好奇心旺盛な「鷹の爪」吉田くんの質問を、先輩であるアカツキ記者が答えていく会話形式で構成されています。今回のテーマは「深刻な人口減少」です。
日本の総人口は2070年に現在よりも約3割少ない8700万人に!
吉田くん(以下、吉田):大変です! 日本人がどんどん減ってるらしいです。きっと夜な夜なUFOに連れ去られて、宇宙人の食料にされてるんですよ。
アカツキ先輩(以下、アカツキ):日本人が減っているのは事実だが、原因は宇宙人じゃなくて少子化だ。
吉田:小シカ!? なんで小さいシカが関係あるんですか。大きいシカの方がたくさん連れ去れるし、角とか目とかが宇宙人っぽいじゃないですか。
アカツキ:宇宙人もシカも忘れろ。日本では、生まれてくる子どもの数が減っていて、2023年に生まれた子どもの数は75万8631人で過去最少だったんだ。減少は8年連続だ。初めて100万人を切ったのが2017年だから、ものすごいペースで子どもの数が減っていることがわかる。この状況が続くと日本の総人口は2070年に現在よりも約3割少ない8700万人まで減ってしまい、その1割が外国人になると推計されている。
吉田:3割も! でも先輩、なんで子どもが減ると人口が減るんですか。大人が頑張って長生きすればいいじゃないですか。
アカツキ:吉田が頑張って長生きしても、ご両親の方が先に亡くなる可能性が高いだろう? ご両親が亡くなったとき、もし吉田が一人っ子だったら、2人の人間から1人しか生まれていないから人口は減ってしまう。逆に3人きょうだいなら、人口は増える。男性は出産できないから、言い換えると女性が一生の間に何人の子どもを産むかで人口の増減が決まる、というわけだ。
吉田:うちの父さんはもう亡くなってますけど、ぼくには弟が2人いるから吉田家だけでみると人口は増えてるわけですね。
アカツキ:そうだな。この考え方を合計特殊出生率といって、平均して1人の女性が生涯に2.08人の子どもを出産すると、人口は増えもせず減りもせず維持されていくと考えられているんだ。2023年の合計特殊出生率は1.20程度だったから、今後人口が急激に減っていくという推計になるわけだ。ちなみに2021年は1.30で、世界212の国や地域の中で197位だった。
吉田:うわぁ、やばいですね。でもなんで日本じゃ子どもが生まれないんですか。近所の公園のハトの子はいっぱい生まれてるのに。
アカツキ:理由はたくさんあるが、結婚する人が減っていることもその一つだ。日本では結婚した夫婦が子どもを持つケースが多く、結婚する人が減ると子どもも減る。2023年の婚姻数は48万9281組で、戦後初めて50万組を割った。若い世代の人口が減っていることに加え、社会で活躍し続ける女性が増えていること、「ある程度の年齢になったら結婚するのが当然」といった昔ながらの考え方が薄れていること、経済的な理由で結婚に踏み切れない人が増えていることなどが原因とみられている。
吉田:なるほど。結婚しないのがみんな、先輩みたいに彼氏ができない人ばかりじゃないんですね。
アカツキ:ほほう、どうやら命が惜しくないようだな。
※本稿は『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
※吉田くんとアカツキ先輩が活躍中のアニメ連載「そもそも?知りたい吉田くん」は朝日新聞デジタルで読むことができます。