「円安?」「国債?」「チャットGPT?」よく耳にするけれど、実際のところ何のことなのか、何が問題なのかわからないまま……そんな今さら聞けないニュースや用語の数々を、どこよりも楽しく、そしてわかりやすくご紹介します!大人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんが新聞記者となって、世の中の経済ニュース・時事用語を基本からていねいに紐解き話題となっている書籍『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』の中から一部を抜粋、編集してお伝えします。
本連載の用語解説の回は、好奇心旺盛な「鷹の爪」吉田くんの疑問を、「鷹の爪」のマッド・サイエンティスト、レオナルド博士がズバリ解説します。今回の用語は「高齢者は何歳から?」です。
「70歳以上」を高齢者にすれば、65~69歳の人が「支えられる側」から「支える側」に回る
質問者 吉田くん(新聞記者):高齢者高齢者って言いますけど、めちゃくちゃマッチョなおじいさんやすごくきれいなおばあさんもいますよね。いったいいくつからが高齢者なんですか。
回答者 レオナルド博士(マッドサイエンティスト):実は、「高齢者とは」という政府内の明確な定義はないという。ただ、政府は65歳以上を高齢者として高齢化率を算出しており、老齢基礎年金を受け取れ、介護保険サービスを利用できる年齢も原則として65歳以上だ。今の日本では、65歳以上が高齢者と言っていいだろう。
ところが2024年5月、政府の財政諮問会議で有識者が「高齢者の定義を5歳引き上げて70歳からに」と提言し、議論を呼んでいる。
高齢者を支える若年層の減少が止まらない中、もし政府が「70歳以上」を高齢者にすれば、65~69歳の人が「支えられる側」から「支える側」に回り、社会保障制度の支え手不足を軽減できる可能性がある。政府にとって好都合なのは間違いない。
そもそも、厚生年金の受給開始年齢は2020年の法改正で60歳から65歳に引き上げられた。政府による高齢者の定義はこのとき5歳引き上げられたともいえ、今回の提言は近い将来、さらに5年引き上げるための地ならしではとの見方も出ている。
専門家の間では、日本の高齢者の心身機能は1990年代と比べても10歳程度若返っているとの報告もある。元気なお年寄りが多いのはいいことだが、ある日突然「あなた、今日から高齢者じゃありません」と言われたら、うれしいのか悲しいのか、どっちだろうな。
※本稿は『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
※吉田くんとアカツキ先輩が活躍中のアニメ連載「そもそも?知りたい吉田くん」は朝日新聞デジタルで読むことができます。