定年前後の決断で、人生の手取りは2000万円以上変わる! マネージャーナリストでもある税理士の板倉京氏が著し、「わかりやすい」「本当に得をした!」と大人気になった書籍が、2024年の制度改正に合わせ改訂&パワーアップ!「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」として発売されました。本連載では、本書から抜粋して、定年前後に陥りがちな「落とし穴」や知っているだけでトクするポイントを紹介していきます。
定年後には税や社会保険料の知識が必須になる!
長くサラリーマン生活を続けていると、税金も社会保険料も会社任せで、自分が何をどれだけ払っているのか意識していない方がほとんどです。しかし、定年後はそういうわけにはいきません。
『定年前後のお金の正解 改訂版』の著者である板倉京先生(下記M)に、お金オンチの担当Iが、いまさら恥ずかしくて聞けない「基本のキ」を訪ねた部分を抜粋して紹介します!
初めてする確定申告。どうするのが一番簡単でしょうか?
「確定申告は必要ない」と言われててもやったほうがいい理由
板倉京(以下M)サラリーマン時代に「確定申告」なんてしたことないですよね?
担当I(以下I) はい、ないです。
M サラリーマンだと毎年12月に年末調整を会社がしてくれますよね。毎月の給料から、少し多めに税金を徴収して、年末に、生命保険料控除や扶養控除などの所得控除をして、正確な所得税を確定してくれるのが年末調整です。あらかじめ税金を多めにとっているので年末調整では税金が戻ってくることが多いんです。
I 会社を辞めると、それを自分でしないといけないんですね。
M それが確定申告です。
I でも、退職金は、確定申告しなくてよいと書いてあるし、年金をもらって源泉徴収されてても、年間400万円までの人はしなくてもいいんですよね?
M 確定申告する必要がなくてラッキーと思ってるとしたら、めちゃくちゃ「カモ」になってますよ! 税金を徴収する側からいえば、「確定申告する必要がある」のは税金を取れる可能性のある人。逆に「しなくてもいい」と言われてる人は、税金が還付される可能性が高い人ということです。
I なんと! 目からウロコ!
M 年金収入400万円以下の人が確定申告すると還付される可能性は高いですし、本書のp36でも書きましたが、退職の翌年も確定申告すれば還付されることが多い。還付の場合は過去5年間分ができますから、後からでもやったほうがいい!
「確定申告書作成コーナー」が便利
I とはいっても、なんか複雑そうで。やり方を細かく説明してもらえますか?
M すべての状況の方に応じた申告書の書き方を説明していると、本1冊終わっちゃいますね。退職金の申告も、まったくの素人が手書きで計算するのは実は結構難しいんですよね……。
I ……(やっぱり無理かも)。
M でも、手で計算しようとしなければ大丈夫です。実は、国税庁のHPの「確定申告書作成コーナー」は、知識ゼロでも申告書が作れる優れものです。相当親切に作られているので、これを使えばかなり複雑な申告でもできます。
拡大画像表示
I まず、作成開始を押してみると、「e‐Taxマイナンバーカード方式」と「e‐TaxのID・パスワード方式」、「印刷して提出」の3種類が出てきますね。これはどれを選べば?
M 1回しかやらないなら、一番簡単なのは印刷して提出です。でも、この先、毎年やるつもりなら、「e‐Tax」のどちらかを選んだほうがラクかもしれません。「マイナンバーカード方式」はマイナンバーカードが必要です。「ID・パスワード方式」はマイナンバーカードは不要ですが、事前に税務署の職員との対面による本人確認を行って「ID・パスワード」を発行してもらう必要があります。
I この3択から選んだあとは、質問に答えながら入力すればいいんですね。
M 後は簡単です。手元に、退職所得や給与所得の源泉徴収票や、生命保険料控除、ふるさと納税の証明書などを用意してください。医療費控除できる場合は医療費のレシートなども。それらのどこの数字を入力すればいいかも、サイトを見ればわかります。
I 万が一、途中でわからなくなったら、どうすればいいですか?
M 還付申告は毎年1月1日からできますから、確定申告で混み始める2月16日の前を狙って、管轄の税務署に行けば、親切に教えてくれますよ。
*本記事は「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」から、抜粋・編集したものです。情報は本書の発売時のものです。