「自分は何も持っていない」「いつも他人を妬んでしまう」「毎日がつまらない」――誰しも一度は感じたことのある、やり場のない鬱屈した思い。そんな感情に寄り添ってくれるのが、クリープハイプ・尾崎世界観氏も推薦する『ぼくにはなにもない 愛蔵版』。この記事では、著者の齋藤真行氏に教えてもらった「ネガティブな気持ちを解消する方法」を紹介する。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)
関係を続けることが、自分にプラスになるのか
前回の記事で相手との関係がつまらないと感じる場合、どのように対処できるか、考えてみました。
人間関係を長く続けるためには互いの共通点が重要です。
共通点が少なくなると自然と会話や共感することも乏しくなり、関係も薄れていきがちになります。
もちろん、その関係が職場の上司や部下といった、そこにいる限り続けざるを得ないものである、ということもあります。
一方、その関係を続けていくことが「自分にとってプラスなのか」を考えて問い直す必要が出てくることもあります。
共通点がどんどん減っていき、その関係を「面白い」「楽しい」とは思えなくなり、自然と疎遠になって関心が薄れていくなら、見直すいいサインなのかもしれません。
疎遠になることをネガティブに捉えなくてもいい
過去にどれほど親しかった友人でも、ライフステージが変わると共通点が減ってしまい、疎遠になることはよくあります。
こういう変化は多くの人が経験する自然な流れで、必ずしもネガティブに捉える必要はありません。
私自身の場合、牧師という職業柄、転任(転勤)をしながら新しいコミュニティと関わる、ということを繰り返します。
人々との関係を転任のたびごとに一旦完全にリセットすることになります。
後任の牧師が新しいコミュニティを円滑に引き継ぐために、前任者が関わり続けることは後任者とコミュニティの関係にとってマイナスになることが多いからです。
どれほど多くのエネルギーを注いだ人間関係もリセットとなり、ゼロからの出直しとなるので、このような生活スタイルでは、新しい出会いが与えられる反面、度重なる別れが隣り合わせです。
友人が増えるどころか、むしろ減っていく感覚が強くあり、外から見えにくい孤独を抱えやすい職務とも言えます。
新しい環境で新たな関係を築く機会もありますが、寂しさや別離の苦痛がどこに行ってもつきまといます。
これは転職が多い職務を担う方々にも共通する部分があると思います。
人間関係の「両面の変化」を受け入れる
人生全体が「出会いと別れの繰り返し」であり、「人が来て親しくなってもまた去っていく」哀しみが絶えずつきまとう…こういう感覚を持ちながら日々を過ごすのは、楽なことではありません。
しかし、こうした人間関係の両面の変化を受け入れながら生きていかざるをえないのが、私たちの実情でしょう。
関係は移り変わっていき、「なんだか昔とは色々違ってしまった…」と感じたりもしますが、それは残念なことであると同時に、新しい機会をもたらす源泉でもあります。
「だれかと疎遠になった」ということは、「だれかと親しくなった」ことと同じコインの裏表とも言えます。
片面だけを見て悲しくなるのでなく、他方の面を受けとめ立ち直る必要があります。
失ってしまった大切なものがあると同時に、新しい出会いや状況がそこには生まれている、それを受け入れるよう自分はチャレンジを受けている、とポジティブに向き合っていくことが大切です。
(本記事は『ぼくにはなにもない 愛蔵版』の著者、齋藤真行氏が特別に書き下ろしたものです)