「たかちゃん!」成城学園初等学校の校長と生徒があだ名で呼び合う深いワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

成城学園初等学校(東京都世田谷区)の現役教師に子育てのお悩みを直接インタビューする本特集。最終回となる今回、私は成城学園の「当たり前」とされている光景に隠された深い教育的意図を探ります。校長先生が教壇に立ち、教員と生徒があだ名で呼び合い、「三位一体の教育」を実践する――。これらの独自の取り組みには、どのような意図が込められているのでしょうか。高橋校長先生と、中学校の広報部長を担当する本吉先生に伺いました。(MagicAI Pass 取締役 横山美菜子)

「先生」「生徒」という
壁はいらない

横山:まず印象的だったのが、子どもたちから「たかちゃん!」と慕われている校長先生の存在です。校長先生が教壇に立たれる理由を教えてください。

高橋校長先生:学校運営者として机上で物事を判断するのではなく、実際の教育現場で子どもたちと向き合うことが重要だと考えています。

 教壇に立つことで、子どもたちの表情や反応を直に感じ取ることができ、より実態に即した教育方針を立てることができるのです。また、他の先生の授業も積極的に見学させていただいています。

 実は、今でも授業の前は緊張します(笑)。特に素晴らしい授業を見た後に自分の授業があると、プレッシャーを感じますね。でも、それも含めて学び合いの一部なのです。

横山:先生方の間でも、あだ名で呼び合う文化があるそうですね。

高橋校長先生:はい。「かっちゃん」「しげみん」など、教員同士もあだ名で呼び合います。これは単なる馴れ合いではありません。適度な親しみと敬意のバランスが、より深い信頼関係を築くことにつながっているのです。

 子どもたちにとっても、「先生」という壁を感じることなく、困ったことや悩みを打ち明けやすい関係性が生まれます。さらに、子ども同士の関係にも良い影響があり、あだ名を通じて互いの個性を認め合う文化が育まれているのです。

次ページからは、デジタル化やグローバル化が進む現代において「教育で大切にすべきこと」を深掘りする。さらに、「内部進学者と中学受験組の差はあるのか」など、成城学園初等学校へ入学した後の実情も解説していく。