大人が自分の許容範囲を
広げるチャンス

3.子どもと自分自身をありのままに受け入れる

 これは、子どもや自分自身の感情を評価したり、決めつけたりせずに、状況に向き合うことを意味します。評価しないということは、自分や子どもに対する非現実的な期待を手放すことでもあり、あるがままを受け入れるということです。

 例えば、幼児がクレヨンで壁に落書きをしたとします。最初はすぐにイライラするかもしれませんが、そのイライラしている感情を持った自分を認識して、責めたりしないでください。

 そして、なかなか難しいことではありますが、すぐに怒る代わりに、子どもがどうしてそうしたかったのかを理解することに意識を優先させます。ルールをきちんと理解していなかったかもしれませんし、あるいは大きなスペースで思いっきり描きたいものがあったのかもしれません。

 また、幼い子どもがいつもルールを理解し、従うことを期待するのも非現実です。間違いは成長の機会だと、大人が自分の許容範囲を広げるチャンスでもあります。

4.自己調整力を育む

 マインドフルネスにおける自己調整力とは、一時的な感情に任せて行動する代わりに、一呼吸おいてから行動を選ぶことを意味します。感情や衝動に振り回されるのではなく、それらをまず認識し、ありのままに受け止めた上で、それに基づいてバランスの取れた意図的な選択をするということです。

 また、大人も自分の行動や感情をコントロールする練習をする姿を子どもに見せることで、子どもにとっても良いロールモデルとなります。

大人から見る「悪い行動」は
子どもの発達の一部

5.子どもと自分に思いやりの気持ちを向ける

 子どもに思いやりの気持ちを向けるとは、たとえ子どもの行動や考えに同意できない場合でも、自分の経験と照らし合わせて共感を持ってその状況に接するように努めるという意味です。

 行動を否定したり頭ごなしに怒ったりする前に、その行動に至った子どもの気持ちや理由にできる限りの範囲で想いをめぐらせるということです。

 大人も同じですが、子どもがその時その時でベストを尽くしていること、大人から見る「悪い行動」は子どもの発達の一部であることを心に留めておくことが大切です。