この世は「ままならないことばかり」だから

 後悔があるとき、「自分ではコントロールできないものがある」と学ぶことができます。思いどおりにできないことを思いどおりにしようとする思考を手放すチャンスです。

 その時々で自分なりに最善を尽くしていても、外的状況のせいで後悔するような事件は起きます。

 たとえば、専業主婦になったから、もう会社員時代のカチッとしたスーツはいらない、と思って捨てたとしましょう。ところが、捨てた6カ月後に、夫の海外駐在が決まった知人のあとを引き継いで、ある事務所で働くことになりました。

 スーツを捨てたことを後悔します。しかし、これは自分が悪いわけではありません。先のことを予測できる人なんていないのですから。こんなとき、「捨てるんじゃなかった、早まった。私のバカバカ」と思うのは間違っています。

「先のことはわからない。わからないことをコントロールしようとしてもエネルギーのムダになるだけ。そんなエネルギーがあるなら、いま大事なことにフォーカスしよう」と思うべきなのです。

「捨てなければよかった」と思うできごとから、自分を許すことも学べます。

『それって、必要?』書影筆子『それって、必要?』(三笠書房)

 タートルネックのトップスの話の続きです。

 1着だけ残したトップスが思いのほか早く破れてしまったのは、自分の判断ミスでした。脇のほうに小さなほつれがあるのを見逃していたのです。

 ですが、人間ですからミスはあります。捨てるものを選ぶとき判断ミスをしても、「しかたないか」と自分を許すべきなのです。

 今度はもう少し気をつければいいだけです。自分を許して、次にいきましょう。

 自分を許せないと、ストレスがたまる一方です。自分を許すことができる人は、他人に対しても寛容になれます。