「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。現在1万5000人が実践中。「久しぶりにぐっすり眠れた!」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された!」「健康的にダイエットできた!」と絶賛の声が続々。「3分以内でできる悩み解決ワーク」を集めた著書『すぐできる自力整体』も好評。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。今回は矢上さんに血流改善に役立つ自力整体について伺いました。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)
「冷たくて、硬い体」は不調や痛みを抱えやすい
――矢上さんは物心ついたころから「自力整体」考案者のお父様(矢上裕)のそばで、生徒さんが元気になっていかれる姿を目の当たりにされてきたそうですね。
矢上真理恵(以下、矢上):そうですね。整体や鍼灸、整骨院、ヨガに通っても改善しなかった不調や痛みを、多くの方が自らの力で解決していかれました。
――生徒さんが「自力整体」で不調や痛みを改善されたポイントは何でしょうか。
矢上:ほとんどの方に共通するのは、「冷たくて、硬い体」から、「あったかくて、柔らかい体」に変化されたことだと思います。
みなさんは通いはじめのころ、冷え性で体温は35度台。筋肉や関節はカチカチ、正座や割座ができないほど硬い方が多いのです。それが不調や痛みのおもな原因でした。
しばらく「自力整体」を続けていただくと体温は36度台になり、正座や割座はもちろん、開脚もスムーズにできるようになります。
理想は「赤ちゃんのような体」
――矢上さんの書籍には「冷たくて、硬い体は、不調や病のはじまり」と書かれていてドキッとしました。
矢上:驚かせてしまいましたが、私自身それを経験した張本人なんです。
海外で別の仕事をしていた30代前半。何もかもがんばりすぎて、カチカチに冷えて硬くなった状態を放置。その結果、不眠症と不定愁訴でダウンしてしまったんですね。
その状況から抜け出すために自力整体を習慣にして、体温を上げて健康体をとりもどしました。
自力整体がベースにしている東洋医学の鍼灸では、「体は冷やしてはいけない」「筋肉や関節は硬くしてはいけない」と考えます。「気・血・水」の流れが悪くなると、病や不調が発生するからです。
理想は赤ちゃんのように「あったかくて、柔らかい体」。しなやかでポカポカの状態をキープできれば、血液やリンパの流れは正常になり、不調や痛みは和らぎます。免疫力もアップ。身体機能も向上して、より生きやすくなるはずです。
「あったかくて、柔らかい体」をとりもどす夜の脱力習慣
――「あったかくて、柔らかい体」は、ペタッと開脚前屈できるくらいの柔軟性が必要ということでしょうか?
矢上:というよりは「緊張のない状態」が理想的です。体は脱力していて、どこにも力が入っていない体。つねに「緊張している状態」の人は、柔軟性があっても手足は冷たいはずです。
――まずは緊張をほぐすことが大事なんですね。
矢上:そうですね。日中の緊張を引きずったまま眠るということは、照明をつけっぱなしで眠るようなもの。
おすすめは夜の脱力習慣です。次の2つは体がリラックスして手足の末端まで温まります。
1.30秒呼吸法
2.自力整体を約20分おこなう
寝る前に、「30秒呼吸法」をおこなうと、血流が良くなって気持ちよく熟睡できます。
息を10秒吸って、10秒止めて、10秒かけて吐く。これを数回おこなってみてください。
そして、時間に余裕のある方は、約20分の自力整体で体をゆるめてみてください。週に2,3回のペースで結構です。私の書籍やこのウェブ連載でたくさんの自力整体のワークをご紹介していますので参考にされてみてくださいね。
この夜習慣で「あったかくて、柔らかい体」をとりもどすことができますよ。
最後に、書籍『すぐできる自力整体』から冷えやむくみ解消にも役立つ「踏み込み」のワークを紹介しましょう。
冷え・むくみ解消に役立つ「踏み込み」のワーク
画像を見ながらおこないましょう(※画像は書籍『すぐできる自力整体』四つんばいでおこなう5分コースより抜粋)。
◎「踏み込み」のワーク
【手順1】四つんばいになる
【手順2】両ひざを持ち上げ、両手で軽く前後にユラユラゆらす
※脚の裏側のほぐれを感じましょう
【手順3】左足をぐ~っと踏み込み右手で床を押す。5回カウント
※脚の裏側のほぐれを感じましょう
【手順4】右足をぐ~っと踏み込み左手で床を押す。5回カウント
※脚の裏側のほぐれを感じましょう
【手順5】もう一度両ひざをのばして前後にユラユラ
【手順6】かかとをそろえ正座。深呼吸
※注意:足が冷えている方は足首から膝裏が硬く、踏み込みをすると手が滑る場合があります。そんな方は、陸上のスタートのクラウチングスタートのように壁と床の間に「手の親指と人差し指の間」を開いて当てておこなうとよいでしょう
※『すぐできる自力整体』では、この他にも、整体プロの技法を使って、コリや痛み、ゆがみを解消するワークを多数掲載しています(★35分の動画も収録)。
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗