製薬Photo:PIXTA

デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は中外製薬や武田薬品工業などの「製薬」業界4社について解説する。(ダイヤモンド・ライフ編集部 笠原里穂)

製薬業界4社は
いずれも2ケタ増収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の「製薬」業界4社。対象期間は2024年7~9月期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・中外製薬
 増収率:22.4%(当四半期の売上収益3157億円)
・武田薬品工業
 増収率:12.7%(当四半期の売上収益1兆1760億円)
・第一三共
 増収率:18.9%(当四半期の売上収益4466億円)
・アステラス製薬
 増収率:17.9%(当四半期の売上収益4625億円)

 今回取り上げた製薬業界の4社は、いずれも前年同期比で増収だった。特に、中外製薬は唯一、前年同期比で2割超を超える大幅増収となっている。

 好調ぶりを受けて中外製薬は、24年12月期通期の業績予想を上方修正。期初の見通しでは減収予想だったが、今回の修正で増収予想に転じた。

 好調の要因は何だったのか。次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、中外製薬の業績について詳しく見ていく。