昨年1月、新NISAがスタートし、日本全体で投資機運が高まっている。だが、アメリカのトランプ大統領の就任など「不確定要素」が多々ある。どうすれば投資で成功できるのか? 同時に今、世界中で「ストイシズム」の教えが一気に広がっている。日本でもストイシズムの教えを活かして幸福な金持ちになる方法を描いた『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』が話題だ。著者は「世界最高のビジネススクール教授50人」に選出され、『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』がベストセラーとなったスコット・ギャロウェイ。日本で「GAFA」という言葉を定着させた全米屈指の人気教授が明かす「世界最先端の“お金と人生”の戦略」とは? 世界600万部突破『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルとゴールドマン・サックスCEOがダブル推薦する全米ベストセラーより内容の一部を特別公開する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)。
運を味方につけられない人の特徴
私自身、それなりにうまくいった要因を振り返ってみると、2つに集約される。
1つは1960年代にアメリカ人として生まれたこと、もう1つは私の成功に対して理不尽なほど情熱的だった母がいたことだ。
母は愛情の薄い家庭で育ったが、私に対してはこれ以上ないほどの愛情を注ぎ込んでくれた。
常に私を素晴らしい存在とみなし、価値のある人間だと思ってくれた。
それは私にとってまぎれもない愛情だった。
成功するかどうかは、その人がいつ、どこで生まれたかに大きく左右される。
だが、欧米社会では独立や自立がもてはやされ、良い結果も悪い結果も個人の努力の結果という暗黙のメッセージが広まっている。
運(自分にはコントロールできない力)が結果に果たす大きな役割を理解していないと、間違った教訓を得て、将来の成功のチャンスを減らしてしまうことになる。
成功者は、自らの成功に運が果たした割合を低く見積もりがちだ。これはトラブルの元になる。
彼らは、成功したのは自分の能力のおかげと過信し、参入するべきでない事業に資金を投じる。
年俸10万ドルの若手セールスエグゼクティブがデイトレードに手を出し大損してしまうのもそうだし、億万長者が金にモノを言わせてサッカークラブを丸ごと買い取ってしまうケースもそうだ。
大きな成功を収めるほど、大きな失敗をしやすくなる。
成功はすべて自分のおかげというウソを信じるからだ。
たしかに優秀で勤勉かもしれないが、自分一人で大きな成功は成し遂げられないし、タイミング(や他の運の要素)に大きく左右されていることを忘れてはならない。
うまくいった原因と
うまくいかなかった原因
個人差はあるものの、人はポジティブな結果は自分の手柄にし、ネガティブな結果は外的要因のせいにする傾向がある(これは「帰属バイアス」と呼ばれる)。
仕事やプライベートで、最近あった重要な出来事の結果について考えてみよう。
うまくいった場合、その原因は何だったのだろうか?
うまくいかなかった場合、その原因は何だったのだろう?
どのような結果にも、うまくいった部分とうまくいかなかった部分があるので、どのケースでも原因を何か1つに特定すると、バイアスがかかり、危険だ。
帰属バイアス以外にも、運の役割を無視することは、まだ成功していない人にとっても危険なことである。
これは、「求めれば何でも手に入れられる」と考える人の致命的な欠点にも通じている。
こう考えてしまうと、「成功しなければ、すべてあなたのせいである」ことも暗示しているからだ。
たしかに誰でもミスを犯すし、失敗はミスから生じることが多い。
だが、物事は運や私たちの手に負えない出来事に左右されている部分も大きい。
初めて立ち上げたベンチャー企業を失敗させたからといって、それは失敗ではない。その起業家は辛い経験を通して、より賢く、ハングリーになれるはずだ。
(本稿は『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』の一部を抜粋・編集したものです)