今年は「新NISA&『オルカン』投資」が話題となった。だが、まだ投資をやったことがない人や、投資を始めても次の一手がわからない人も多いかもしれない。
そんななか、世界600万部突破『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルとゴールドマン・サックスCEOが絶賛する全米ベストセラーが話題となっている。世界的ベストセラー『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(東洋経済新報社)の著者で、「世界最高のビジネススクール教授50人」に選出されたニューヨーク大学スターン経営大学院教授のスコット・ギャロウェイ著『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』だ。9社を起業した連続起業家でもあり、日本で「GAFA」という言葉を定着させた全米屈指の人気教授が明かす「世界最先端のマネー戦略、人生戦略」とは? 本書から投資戦略のコツを抜粋・編集してお届けする(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)。

【日本人の9割が知らない】お金とストイシズムの非常識な関係とは?Photo: Adobe Stock

「人格と行動のサイクル」とは?

太古の昔から、人々は自らの人格を高めようとしてきた。
ありがたいことに、その方法はよく知られている。簡単ではないが、神秘的でも特に複雑でもない。

人格と行動は互いを補強し合う関係にある。

行動がその人の人格を反映するように、突き詰めれば、人格もまたその人の行動の産物なのだ。

この補強のサイクルは、好循環になることもあれば、悪循環になることもある。どちらになるかは、自分次第だ(図表2)。

図表2図表2

これは単なる経済的成功以上のことにも当てはまる。
意義のある目的を持ち、それに沿った行動をしていくことは、本物の人生を生きるということだ。

たとえうまくいかなかったとしても、それは自分に正直に、真剣に生きることにほかならない。
富の追求は、そのいとこのような存在である幸福の追求と同様、全人格をかけたプロジェクトなのである。

ストイシズムが人生に与える影響

人類はこのことを、ストイシズム(ストア派哲学)の教えなどを通じて長年にわたって学んできた。

ストイシズムは、古代ギリシャで創始された哲学の一派で、ローマ帝国で花開き、現代の識者たちによって再び脚光を浴びている。

人格を高めることを最高の美徳としたストア派の哲学者たちは、多くの著書を残している。

私が第1章のタイトルを「お金とストイシズム」としたのは、ストア派の哲学者や、その現代の識者たちの言葉が私の心に響き、仕事面でも生活面でもその教えの影響を受けてきたからだ。

とはいえ、本章の目的はストイシズムの教義を細かく解説することではない。
また、必ずしもすべての内容がストイシズムの教えに沿っているわけでもない。

たとえば、著書『自省録』で知られる古代ローマの皇帝・哲学者マルクス・アウレリウス・アントニヌス(121~180)は、この章で私が提案する「お金持ちの友達をつくる」ことを推奨してはいない。
とはいえ、彼はこの章のほとんどの内容に賛同してくれるとは思う。

初期のストア派哲学者たちがギリシャで美徳について考えていたのと同じ頃、ゴータマ・シッダールタの弟子たちは、師が説いた仏教の教義の核となる正しい考え・行動・心構えをさらに深め、体系化する仕事に取り組んでいた。

その数世紀後、イエス・キリストは正しい心を持つこと、誘惑に抗うことの重要性を説き、「肉体的な欲望に溺れてしまえば、心が貧しくなる」と警告した。

19世紀のアメリカの思想家ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(1817~1862)は、哲学の目的は単に「高尚な考えを持つこと」ではなく、「人生の問題を、理論的にだけでなく、実践的に解決すること」であると述べた。

同じような教えは、どんな文化や哲学にもあるのではないだろうか。

こうした伝統的な教えから、自分の人生に役立つ知恵を見つけていくことは極めて大切だ。

(本稿は『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』の一部を抜粋・編集したものです)