エヌビディアの最高経営責任者(CEO)が直近の決算発表の終盤で言及した内容は、もっと注目されてしかるべきものだ。人工知能(AI)半導体への旺盛な需要が四半期売上高を94%増の351億ドル(約5兆4000億円)に押し上げたことに埋もれてしまったのは無理もないが。
「誰もが知っている通り、われわれは生成AI革命の始まりにいる」とジェンスン・フアンCEOは決算発表で述べた。「そして、リーズニング(論理的思考)や時間をかけた思考が可能な新世代の基盤モデルの始まりにいる」
2年前にオープンAIの対話型AI「チャットGPT」が登場し、ほぼあらゆる質問に素早く回答して世界を驚かせた時には、「長時間思考」は時代の潮流には乗らなかった。しかし、回答に頻繁に散見される誤りを減らしたり、なくしたりする可能性を秘めている。
長時間思考とは(少なくとも最大限に活用された場合では)文字通りの意味を持つ。長時間思考AIモデルは、生成する結果を「熟考する」ためにもっと時間をかけるように設計されている。進行状況を知らせ、途中でフィードバックを求めるほど賢くなるだろう。
これは、問題には数秒多く時間をかけることを意味する場合もあれば、フアン氏が6月に別の場で示唆したように、はるかに長い時間をかける場合もある。
フアン氏は台北で開催された情報技術(IT)見本市「コンピューテックス」で、「多くの場合、ご存じの通り、われわれは現在100日間稼働するAIアプリケーションに取り組んでいる」と述べた。
モデルのリーズニング能力が発達するにつれ、AIはカスタマーサービスや自動化作業で人間の代わりに機能する現在の技術や、登場し始めたばかりの高度なAIエージェントに比べて飛躍的に進化すると予想されている。