生成AI(人工知能)ブームで快進撃を続ける米エヌビディアに対し、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)と米インテルが追随する態勢を整えた。急拡大するAI半導体市場を支えるのは台湾のサプライチェーンだ。地政学リスクが高まる中でも、AI半導体3社は台湾の囲い込みを急ぐ。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
生成AIの覇者エヌビディア
台湾企業と連携強化のワケ
中国が台湾周辺で大規模軍事演習を終えたばかりの5月26日。米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が台湾・台北市に降り立った。
台湾南部・台南市生まれの米国人のフアン氏は、6月4~7日に台北市で開かれたアジア最大級のIT見本市「コンピューテックス台北(台北国際電脳展、COMPUTEX)」に合わせて訪台。
「生成AIによる新しい産業革命が始まった」――。コンピューテックスの開幕に先立つ6月2日、フアン氏は台北市内で講演し、会場に押し寄せた6500人以上の聴衆を沸かせた。
エヌビディアは、米オープンAIの「ChatGPT」のような生成AIサービスを生み出すためのデータセンター用のAI半導体で、約8割の世界シェアを握る。
この場でフアン氏は、2024年に本格出荷する画像処理半導体(GPU)「ブラックウェル(B200)」に続き、25年に「ブラックウェル・ウルトラ」、26年に次世代品の「ルービン」、27年には「ルービン・ウルトラ」と1年ごとに新製品を投入するロードマップを披露し、“独走態勢”を盤石にする構えを示した。
この講演から3日がたった米国時間5日にはエヌビディアの時価総額は3兆ドルを突破し、米アップルを抜いて米マイクロソフトに続く世界2位になった。
快進撃を続けるフアン氏が訪台中に繰り返し訴えたのが台湾企業との連携だ。地政学リスクが高まる中で、フアン氏が台湾企業との関係を重視するのはなぜか。