昨年から新NISAがスタートし、株式投資などで資産を増やそうとする機運が日本全体で高まっている。身のまわりで、投資に関する話を耳にする機会も増えただろう。ただし、投資には景気の動向など「不確定要素」がつきもので、運に左右される面があることは否定できない。いったいどうすれば、不運な目に遭わずに、投資で成功できるのだろうか?
そこで今回は、「読むと人生が変わる」「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている、全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリさんの来日に合わせ、インタビューを行った。(取材/国際ジャーナリスト 大野和基、構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)
「人的資本」を「金融資本」に置き換えていこう
――本書の担当編集者の心に一番刺さったのが、195ページの「年齢が上がるに合わせ、『人的資本』を『金融資本』に置き換えていこう」というメッセージだそうです。実際、彼はこの言葉に刺激を受けて、投資を始めました。
この記事の読者に向けて、人的資本と金融資本の関係性について、改めて説明をお願いします。
ニック・マジューリ 人的資本とは、現在の年齢から残りの人生で行う、すべての仕事の価値の総体のことです。人間のライフサイクルを考えたとき、技能や知識は人生を通じて向上していくものの、年を重ねるほど残された時間は減っていきます。
たとえば、1年間働けば将来の収入が1年分減るので、総合的な人的資本の現在価値は、下図のように年々低下していくと想定できます。したがって、現役時代と同レベルの資本を維持し続けるには、金融資本を構築していくしかありません。
これが、人的資本の減少分を「金融資本に置き換える」という考えです。つまり、「これ以上働きたくない」という時期が来たときのために、自分以外にお金を稼ぐ主体をもう1つ作っておくのです。そうすれば、リタイアしても、富は継続的に生み出されます。
これは、「なぜ投資をすべきなのか」という問いに対する答えとして、最も説得力があると私は考えています。
数億円プレーヤーだったのに、引退後に破産する例も
引退後も贅沢な暮らしを続けようとするが、人的資本を金融資本に変えなかったために収入がなくなり、お金が底をついてしまうのだ。
生涯収入の大部分を数年間で稼ぐスポーツ選手の場合、収入の一部を投資に回すのは普通の会社員より重要であるにもかかわらず。
どのような働き方をしているにせよ、年齢が上がるとともにお金を稼ぐ力は衰えていくと自覚すると、投資へのモチベーションになる。(P.196)
(本稿は、『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏へのインタビューをもとに構成しました)