「円安?」「国債?」「チャットGPT?」よく耳にするけれど、実際のところ何のことなのか、何が問題なのかわからないまま……そんな今さら聞けないニュースや用語の数々を、どこよりも楽しく、そしてわかりやすくご紹介します!大人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんが新聞記者となって、世の中の経済ニュース・時事用語を基本からていねいに紐解き話題となっている書籍『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』の中から一部を抜粋、編集してお伝えします。(構成/上栗崇)

チャットGPTは神か、ただの「知ったかぶり」か!? 公開2年で見えてきた意外な弱点イラスト/FROGMAN

本連載は、好奇心旺盛な「鷹の爪」吉田くんの質問を、先輩であるアカツキ記者が答えていく会話形式で構成されています。今回のテーマは「チャットGPT」です。

何でも知ってるイケガミさんとどっちが物知りなんですか?

吉田くん(以下、吉田):先輩、チャットなんとかっていう物知りさんが最近人気みたいですけど、何でも知ってるイケガミさんとどっちが物知りなんですか。

アカツキ先輩(以下、アカツキ):チャットGPTは人じゃなくて、インターネット上で使える人工知能、AIだ。人間と自然な言葉でやりとりできるのが特徴だから、「対話型AI」と呼ばれている。質問文や依頼文を打ち込むと文章で回答してくれる。文章の翻訳や要約もできるし、ビジネスの場面でも企画書や営業のメールの下書きを書いたり、顧客の問い合わせに対応したりもできる。

吉田:すごすぎるじゃないですか! もはや神ですね。チャッピーはなんでそんなに何でもできちゃうんですか。

アカツキ:チャッピー……。いきなりなれなれしいな。実は、チャットGPTは「答えを知っている」わけじゃなく、「もっともらしい文章」を生み出しているだけだと考えられている。

吉田:待ってくださいよ。答えを知らないのに答えてるんじゃ、ただの知ったかぶりじゃないですか!

人間の知ったかぶりとはレベルが違うぞ

アカツキ:まぁ、乱暴に言えばな。とはいっても、人間の知ったかぶりとはレベルが違うぞ。チャットGPTは質問の文字列を数値化して超高速で計算しながら、これまで学習した膨大な数の単語から最も得点が高い=回答としてふさわしいものを次々に選んで、より高得点な回答を作り上げていくんだ。

吉田:えっ、いちいち言葉を数字に換えて、計算してるんですか? そんなのめちゃくちゃ時間がかかるじゃないですか。

アカツキ:チャットGPTは開発時にネット上の膨大な情報を読み込み、文章や会話の自然な流れを学習したと考えられている。半導体やコンピューターの性能が上がり、瞬時に膨大な計算ができるようになった影響も大きい。

吉田:文章が理解できてすごいだけじゃなく、計算も速いなんて……文系も理系もイケるってことですね。

学習が追いついていない最新の時事ネタには比較的弱い?

アカツキ:なんかちょっと違う気もするが。チャットGPTは計算のやり方とコンピューターの性能の両方が向上したことで、文章として適切な単語を計算ではじき出す「先読み」や、長い文章を記憶し、文脈を踏まえて回答する能力が高まったと考えられている。一方で、学習した単語を元に文章を作るから、学習が追いついていない最新の時事ネタには比較的弱いこともわかってきた。

吉田:なんだかよくわからないけど、チャッピーがめちゃくちゃ頭がいいってことはよくわかりました。今日から早速「チャッピー師匠」と呼ばせていただきます! 師匠、お茶とお菓子はいかがですか!

アカツキ:なぁ、もうちょっと人間としてのプライドを持ったほうがいいと思うぞ。