濵渦 10年ぶりに都知事選に出馬した元航空幕僚長の田母神俊雄さんは、そもそも全然人が集まっていなかった。本人も小柄だから、どこにいるかわかりませんでしたよ。
その様子を見て田母神さんは今回は厳しそうだな……と思っていましたが、案の定、10年前より得票を半分以下に減らして、26万7699票でしたね。
公務の行き先で選挙演説
小池百合子の職権乱用
――今回の都知事選では、小池都知事は選挙期間中にもかかわらず、公務と称して八丈島や奥多摩町、青梅市などにマスコミを引き連れて移動し、選挙活動を展開していた。
濵渦 ああいうやり方は、はっきりいって問題ですね。小池都知事は告示日から3日目に八丈島に行っていましたが、あの移動経費も、もちろん公費。選挙活動と都知事としての公務をごちゃまぜにしているわけです。
公務と称して奥多摩町役場の職員たちと接したあとに、街頭に出て小池百合子と名入りのタスキをかけて演説を始めたのもおかしかった。
現職の立場を最大限使い倒した選挙戦を展開していました。まさに職権濫用で、公職選挙法違反です。マスコミも、それを批判することなく、嬉々として普通に取り上げている。その感覚もおかしいんです。
普通は立場を使っての選挙活動は禁止されていて、公職選挙法違反なんです。
江本 かつて小池さんと行動をともにしていた弁護士の若狭勝さんも小池さんを批判していますね。
2024(令和6)年5月に都内52市区町村長が小池都知事宛てに、「3期目を目指して立候補されることを期待し、ここに支持を表明する」という出馬要請文書を出していましたが、あの文書は小池都知事側から働きかけがあったとして、東京地検に告発されています。
この件について、小池さんは働きかけを否定していますが、若狭さんは、「たんなる容認でも犯罪となる」として立件される可能性を指摘していますね。
濵渦 若狭弁護士が指摘するように、出馬表明前に各市区町村の首長たちからの推薦状を集めて立候補の要請までさせたのは、パフォーマンスどころか公務員の地位利用ですよ。
小池の秘書が首長たちのところに出してほしいと依頼して回っているんだから、三文芝居もいいところ。やらせをニュースとして報じているようなものです。