濵渦 手塚幹事長は共産党の協力が自分の政治生命に直結しているから、彼はなんとしても野党共闘を続けたいわけです。
それで東京は小選挙区が次の衆院選から5選挙区増えて一気に30選挙区になる。
このうち立憲と共産が組めば、どのくらいの選挙区で勝てるのか。都知事選はそれを調査するための格好のモデルケースになるわけです。
江本 手塚さんとしては蓮舫さんを当選させることが目的ではなかったと?
濵渦 はい。誰でもいいから候補者を立てて立憲と共産で応援すれば、衆院選に向けた実戦の経験が積めるわけです。
ポスターを貼ったり、ビラを配ったり。
自民党も選挙区が増えるのは同じですから、同じことをたくらんでいたみたいですが、小池に表立っての応援を断られてしまい、それができなかった。
だから自民党は衆院選の予行演習ができなかったわけです。
一方で、立憲は蓮舫本人の得票はイマイチでしたが、衆院選の予行演習はできました。手塚幹事長としては大成功だったんじゃないでしょうか。私は手塚のファインプレーだと思っています。
蓮舫と石丸の街頭演説
聴衆の違いが票に現れた
江本 無名ながら、急激に得票を伸ばして2位になった石丸伸二さんはどう見ますか。
濵渦 なんとなく不満があって、あまり入れたい政党がない。かといって小池にも入れたくないという人たちの票が集まったのでしょう。ほかに行き場がなかった。
蓮舫に投票するのは共産党に投票するのと同じに感じた人もいたでしょう。魅力的な候補者は探してもいないわけです。
そういう行き場のない人たちの票が、少しずつ石丸に集まっていった印象ですね。
僕は有力な候補者の街頭演説はひと通り聴いてみましたが、石丸には聴衆が抜群に集まっていた。とくに動員されている雰囲気もなさそうだから、最初はどこから来ているのかなと思いましたよ。
若いネット世代ばかりかなとも思ったけれど、中高年もそれなりにいるから、伸びてくる感じはありましたね。
一方の蓮舫は、人は集まっているけれど、明らかに動員。たくさん来ていたとしても、労働者風の中高年が多くて、にぎわっているようにはあまり見えませんでした。