兵庫県知事選挙でも、斎藤元彦氏がSNS戦略を駆使して再選を果たしました。斎藤氏は動画発信やSNSでの情報拡散を通じて、若い世代からの支持を集めました。しかし、この選挙戦では真偽不明な情報も多く流れ、SNS上での誹謗中傷や過激な発言が問題視されました。
また、兵庫県知事選では、斎藤氏陣営とSNS戦略を担当したと述べたPR会社との関係について、公職選挙法違反の疑いも浮上しています。
両選挙では共通して、SNSが情報の拡散と候補者への支持形成において無視できない存在となっていたことは確かです。SNSの存在は、従来のメディアとは異なる新たなアプローチを提供し、選挙戦のダイナミクスを変化させました。日本経済新聞とテレビ東京による世論調査では、政治や選挙に関する情報を得る際、SNSを「よく使う」「ある程度使う」と回答したのは全世代で39%、30歳代以下では75%にも上るとのこと。今後の選挙戦で、情報リテラシーや真偽確認の重要性はますます高まると考えられます。
生成AIの台頭と
フェイクニュース拡散の危機
SNSは、フェイクニュースの拡散を助長する温床となっています。誤った情報やセンセーショナルな主張がアルゴリズムによって増幅され、多くの人々に信じられる状況を生み出しています。この問題は、陰謀論を信じる人々の増加という形で顕在化しています。SNS上では「既存メディアこそがフェイクニュースを流している」という主張が頻繁に見られます。
確かに、大手メディアも間違った報道をすることがあります。偏向報道が存在することも否定できません。しかし、大手メディアは放送倫理や報道基準に基づいて運営されており、明らかな間違いがあれば訂正を行う仕組みが整っています。一方で、SNSにはそのような倫理規定や訂正の仕組みがほとんど存在しません。さらに、モデレーションが不在であったり、偏った基準で行われたりすることも多く、良かれと思って行ったモデレーションが後に否定されるケースも見られます。何をもって「正しい」とするかの基準がSNS内で明確に定まらないことが、問題をさらに複雑にしています。