SAPIXの広野雅明先生に「中学受験の素朴な疑問」をぶつける連載。「学校名公開!SAPIX広報が教える『評判以上に満足度が高い中高一貫男子校4選』」で取り上げた中高一貫校を4本連続で紹介する。最終回は武蔵高等学校中学校。自由でユニークな校風を特徴とし、武蔵に「向いている人」と「向いていない人」がハッキリと分かれるという。(聞き手・文/教育アドバイザー 鳥居りんこ)
禁止事項は「下駄」と「麻雀」くらい
「自調自考」の自由な校風
――今回は「絶対王者サピックスが認める満足度の高い男子校」のトリを飾る学校です。どこを挙げられますか?
今回は※御三家の一角、武蔵をご紹介しましょう。
武蔵は大正11年(1922年)に鉄道王・根津嘉一郎が私財をはたいて設立した学校です。「社会から得た利益は社会に還元する義務がある」という根津の強い志があったのですが、その目標は社会に役立つ人材を育てるというものでした。それが脈々と今に続いているのが武蔵です。
――武蔵も前回紹介した桐朋同様、自由な校風で知られています。
戦前は帝国大学へ進学する超エリートを育てる7年制の高等学校でした。設立当初はスパルタ教育でガリ勉だったそうですが、戦後はその反動で校則も制服もない自由な学校となりました。服装や髪型、持ち物などの決まりもありません。何事も自分で判断して行動するべきというのが武蔵の教育の根幹なんですね。