ゴールデンウィーク期間中、日本は首相のロシア・中東歴訪をはじめ、11閣僚が欧米や東南アジア、南米・中南米へと外遊し、“安倍外交”を展開した。関係悪化中の中国と韓国を外す形となったが、その中国の外交はどうか。少し前の事になるが、習近平国家主席の就任後初の外国訪問のときのことを振り返ってみたい。

 今年3月、中国の習近平国家主席がタンザニア、南アフリカ、コンゴのアフリカ3ヵ国を訪問したことは記憶に新しいところだ。中国はこの訪問で、タンザニアとは農業、エネルギー、インフラ建設、またコンゴとは経済特区建設のほか鉄道建設などをめぐる経済協力の合意に達した。

 2012年の中国・アフリカ間の貿易額は2000億ドル。09年以来、中国は欧州を超え、アフリカにとって最大の貿易パートナーになった。南アフリカではすでにハイテク技術を中心とした中国企業の直接投資が進んでおり、現地での雇用創出に貢献しているという。

現地の内需拡大に貢献せず?
中国のアフリカ経済協力

 しかし、今回の訪問に対し、欧州メディアからはこんな声が上がった。

「中国の新植民地主義だ」――。

 中国のアフリカに対する協力は、結局中国の設備と人材を投入するだけで、何ら内需拡大に貢献しないと見ているためだ。

“オール・バイ・チャイニーズ”――。中国政府の旗振りのもと、中国企業を現地に進出させ、設備も人も持ち込むやり方は、今回に限らず過去数年にわたって「新植民地主義ではないか」といった議論の的となっている。現地からも「地元のルールややり方を尊重しない」などの“中国流”を嫌う声は小さくない。

 その一方で、筆者には、この習近平氏が2011年10月に殺害されたアフリカ北部・リビアの元最高指導者・カダフィ大佐にも重なって見える。貧困にあえぐアフリカが望むものを次から次へと資金提供して与えたカダフィは、当時アフリカ54ヵ国の帝王となる野望を抱いていた。カダフィ亡き今、その代役となるのが、まさにこの中国に他ならない。