「あなたは人生というゲームのルールを知っていますか?」――そう語るのは、人気著者の山口周さん。20年以上コンサルティング業界に身を置き、そこで企業に対して使ってきた経営戦略を、意識的に自身の人生にも応用してきました。その内容をまとめたのが、『人生の経営戦略――自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト20』「仕事ばかりでプライベートが悲惨な状態…」「40代で中年の危機にぶつかった…」「自分には欠点だらけで自分に自信が持てない…」こうした人生のさまざまな問題に「経営学」で合理的に答えを出す、まったく新しい生き方の本です。この記事では、本書より一部を抜粋・編集します。

職場にいる「若い時は仕事ができたのに、40代以降成長していない人」の共通点・ワースト1Photo: Adobe Stock

「慣れた仕事」ばかりやっている人は成長しない

 人生の夏の後半・40代以降にも成長できる人と、できない人の違いはどこにあるのでしょうか?

 私たちは「自分の強みが発揮できる場所」だけに居続けることを戒める必要があります。個人の学習が「弱さ」の発現によって始動されるのであれば、私たちは「もしかしたら失敗してしまうかもしれない」という仕事にチャレンジすることによってしか、成長できないということになります。

 ここでカギになるのが「コンフォートゾーンから抜ける」ことです。

 新しい仕事を始める時、たとえ難易度の低い仕事であっても、私たちは不安です。そして、この不慣れな仕事に取り組むことで徐々に成長し、やがて、S字の曲線を辿って学習・成長し、その仕事を非常にうまくこなせる段階に至ります。

 コンフォートゾーンとは、その仕事をやるにあたって、大きな心配がなく、リラックスして取り組める状態のことをいいます。

 上司や同僚からすれば、仕事を安心して任せられる状態であり、本人も自信を持って取り組めている状態で、ストレスの非常に低い状態ではあるのですが、あまりに長くこの状態に居続けると、学習・成長は停滞してしまうことになります。

 そこで、次に難易度の高い仕事にチャレンジすることになるわけですが、このとき、前の仕事を始める時に感じたストレスや不安を、ふたたび感じることになります。そしてまた、同様にS字の曲線を辿って学習・成長し、やがてその仕事を非常にうまくこなせる段階に至ります。

 そして、このサイクルは、私たちが人生において学習・成長を続ける限り、常に繰り返されることになります。私たちの学習・成長は「コンフォートゾーンから抜ける」ことでしか実現できないのです。