職場でもプライベートでも思ったことをポンポン口に出せる人もいれば、なかなか意見が言えない人もいる。それらを上手に引き出し、コミュニティの中で「回す力」を発揮する存在感のある人になるには、どうすればいいのか。具体的な言い方を解説する。※本稿は、楠本和矢『人・場・組織を回す力』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を抜粋・編集したものです。
会話を豊かにする
「パスの配球役」
相手のエピソードトークや、自分に振られた話に対して、ある程度上手く反応することができれば、いよいよ周囲に「パス出し」をすることも考えてみましょう。そのコミュニティの中に、パスの配球役が1人いるだけで、毎回の「場」が、がぜん活性化されます。
さて、少し話は逸れますが、皆様は以下のようなコミュニティや場に居合わせたことはありませんか?
○特定のおしゃべりな人が、自分の話を続けるだけ
○全員がおとなしく、あまり発言がない
○複数人が、勝手に個々で話し始めている
それらは、あまり「回っていない」場と言えます。相互のコミュニケーションが成立していない状態です。せっかく複数人が集まっているのに、これでは意味がないし、あまり豊かな時間とも言えません。「別にそんな場でも問題ない」と思う人を否定するつもりはありませんが、どうせだったら、より楽しい場になるに越したことはありませんよね。
もし、あなたがそんな場に居合わせたなら、メンバー同士のやりとりを促すべく、さりげなく「パスの配球役」、つまりメンバーに話題を振る役割を担ってみてください。そんなに難しいことではありません。ちょっと周りに気を配るだけでできます。それであなたが損することは一切ありません。
「なんで、皆のためにそこまで…」と思うかもしれません。それは、皆のためではなく「あなた自身」のためだからです。
もしそこが「つまらない場」だと思ったなら、損しているのはその場を選んだあなた自身です。自分の大切な時間を他人に任せたり、他の何かに責任を負わせ続けたりするのは、一種の思考停止です。きっと状況はいつまでも変わりません。
もし、メンバー同士の愉快なやりとりを「幸せな時間」と考えるなら迷わず率先して動きましょう。あなた自身のために。