場を回す人がいたら
「影の進行」をしよう

 芸人さんが、「裏回し」という言葉を使います。それは、場回し役がいるときに、その人の意図を汲み取り、話をうまく受け取りながら周りに展開する、いわば「影の進行」を行うことを指します。

 バラエティ番組では、進行役(場回し役)となるMCの方がいて、その他数人のキャストとやりとりしながら進行していくという構成を多く見ます。ただ「MCが振って、キャストが答える」というやりとりだけでは、あまり面白くありません。

 MCが繰り出した話題の中で、キャストからキャストへのパス出しがあり、それぞれ同士の掛け合いも加わるから、面白さがさらに増していきます。場の盛り上げ役とも言えるMCとしても、そういう展開になると、とても助かるのではないでしょうか。そういう人の重要性が認識され、「裏回し」という言葉が生まれたのではないか?と推察しています。

 先ほどお伝えしたように、既に「場回し」をしてくれている人がいれば、その人に任せておけばOKですが、可能であれば、その人のサポートとして、ぜひあなたが「裏回し」をしてあげてください。その方法を簡単に説明します。

場を仕切るより重要な
前に出すぎない「裏回し」

○場回し役から振り出された話に、ポジティブに反応する
 基本は、「ポジティブに反応」してあげることです。できればそれに加えて、いい「返し」を入れることができればbetterです

書影『人・場・組織を回す力』(クロスメディア・パブリッシング)『人・場・組織を回す力』(クロスメディア・パブリッシング)
楠本和矢 著

○話を振られたメンバーの反応に、「突っ込み」を入れる
 メンバーの反応に面白い部分があれば、そこに対して突っ込みを入れましょう。話題を振った「場回し役」からも喜ばれます。場回し役が突っ込みを入れたら、重ねる形で突っ込みを入れてもいいです

○その話題について、場回し役にも振ってあげる
 これが結構重要。振り出したその話題は、本人もそれについて話したい、ということも多いです。メンバーからの反応が一段落したら、一度振ってみましょう

 この記事でお伝えしている「場回し」技法は、MC的にバンと前に出て、その場を仕切るということよりも、ここで説明した「裏回し」の位置付けに近いと思います。前に出すぎず、出てきている話題に沿って、さりげなく回していく方法こそ、日常生活の中で現実的に使えるのではないでしょうか。