これまでの人生を生きてきた中で培ってきた力、思いやりや気配り、ビジネス視点、巻き込み力……。そういった力は若い人には絶対に負けません。それに資格を掛け合わせることで最強の強みになるのです。たとえば、カウンセラーの資格を持っていても、共感力や傾聴力がなければ、クライアントの心に寄り添うことはできないですよね。美容系の資格を持つスタイリストなら、接客スキルやコミュニケーション能力が求められるでしょう。
資格に加え、人との信頼関係を築くスキルを磨くことが、プロとしての価値を高めることにつながるのです。
6.〈前向き力〉×〈資格〉
最後に、これが一番大切かもしれません。資格を取得しても、それを活かそうとする姿勢がなければ意味がありません。年齢なんか関係ない!今が一番若い!という気持ちで常に学び続け、新しいことにチャレンジする気持ち。そして失敗を恐れない前向きな姿勢が、資格を本当の強みに変えるのです。
人との小さな「ご縁」が
キャリアを切り開く「カギ」になる
仕事をしていくうえで重要になってくるのは、やっぱり人との「ご縁」ではないでしょうか。小さなつながりを大事にしていく。能力が普通だったら、この小さなご縁が「カギ」になってくると私は思っています。
心理学者のジョン・D・クランボルツ氏は、「キャリアの8割は偶然の出来事で決まる」と言っています。有名な「計画的偶発性理論」(プランドハップンスタンス理論)です。つまり、仕事は自分では予想し得ないことばかりで、誰と知り合うかに大きく左右されるところがあるというわけです。
特に今は先の見えない時代。VUCA時代とも言われます。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べた言葉。変化のスピードは速いため、予測しにくい。しかも、さまざまな出来事が複雑に絡み合っていて、物事の関係や解決策がわかりにくい社会というわけです。
そのような先行きが不透明な時代だからこそ、人とのつながりが意外にも大事になってくるのです。人脈の中で資格を活かしていく、という考え方です。