「いつも気を使い過ぎて、心が疲れてしまう」「このままで大丈夫なのか、自信がない」と不安になったりモヤモヤしてしまうことはないでしょうか? そんな悩みを吹き飛ばし、胸が晴れる気持ちにしてくれるのが『精神科医が娘に送る心理学の手紙――思い通りにならない世の中を軽やかに渡り歩く37のメッセージ』です。悩む人たちに40年以上向き合ってきた精神科医が、自分の娘に「どうしても伝えたかったこと」を綴った本書は、韓国で20万部を超えるベストセラーとなりました。本記事では、その内容の一部を紹介します。
ネガティブになるのは一時的な「風邪」だと考える
あなたは「自尊感情」ってどんなものだと思う?
簡単にまとめるなら、「自分は愛される価値のある大切な存在であり、人生で直面するいかなる問題にも適切に対処する能力がある人間だ」という信念が自尊感情だ。
そう考えると、自尊感情とは心の基礎体力みたいなものかもしれない。
野球やサッカーみたいな1シーズンが数ヵ月にも及ぶような競技で、最終的に優勝できるのは結局「底力」のあるチームだ。同じように、人生という心配事の尽きない長い旅路を歩ませてくれる「底力」が、自尊感情なのだ。
もちろん、自尊感情がどうあれ不運は降りかかるものだが、自尊感情が高ければそれで簡単に崩れることもないものだ。
自尊感情がいかに重要か、多くの人が知るところとなって久しい。
しかし、「他人の発したひと言に簡単に傷ついて動揺した」とか「他人の視線を気にしすぎる」「小さな失敗にも大きく挫折する」といった行動に対し、「だから自分は自尊感情が低い人間なのだろう」と原因を短絡的に分析する人も増えたように思う。
中には自尊感情を一種のスペックのようにとらえて、学習して高めていく対象だと考えている人もいる。
しかし、自尊感情の高い人であっても試練にぶつかれば涙を流し、トゲのある言葉に傷つきもし、自分は何かが欠けているのではないかと悩むこともある。
自尊感情が低下する経験は日常にあふれているため、そうした反応は自然なことであり、その部分だけで自尊感情が低いと判断してはいけない。
もし、本当に自尊感情が低いことで起こる心理的な問題を繰り返しているのでなければ、一時的な自尊感情の低下は風邪のようなものだと思って乗り越えたほうがいい。
ネガティブ思考を変えたいとか不快な感情を忘れようともがくほど、むしろ余計に意識がそこに集中してしまうように、自尊感情が低いのではと悩みすぎても、欠けた部分をよりフォーカスしてしまうだけだ。
むしろ傷ついた自尊感情のことは一旦放っておき、今すぐやるべきことのほうに集中してみよう。肯定的なフィードバックが増えるにつれ、自尊感情はひとりでに強くなっていくからだ。
近ごろ地下鉄に乗ると、飽きもせず鏡を覗き込んでいる女の子に出会うことがよくある。
一昔前なら、「誰か気に入られたい相手でもいるの?」と冷やかされたものだろう。
しかし近ごろの女の子たちはそうじゃない。他人の目よりも自分で見て満足できることのほうが重要なのだそうだ。
誰かに見られる存在ではなく、自分自身に対して「私は私のスタイルが好き!」と言える女の子たち。
彼女たちみたいな自尊感情を持てれば、厳しい世の中でも大きく揺らいだりせずに乗り越えて行けるはず。
いつでも自分のことを好きでいて応援してくれる、「自分」という頼もしい友達がそばにいてくれるからだ。
(本記事は『精神科医が娘に送る心理学の手紙――思い通りにならない世の中を軽やかに渡り歩く37のメッセージ』の一部を抜粋・編集したものです)