もしもあなたがうつ状態に陥りそうになったら、ストレスへの対処法を実践したり、これまでの生き方を見直すことで活路が開けてくるかもしれない。さらに、自分の心の状態を知るうえでおすすめなのが「しなければいけないこと」と「したいからすること」の割合に着目する「ネコの視点チェック」だ。幸福を医学的に研究する心療内科医が、人生を豊かにするためのヒントを説く。本稿は、海原純子『幸福力――幸せを生み出す方法』(潮文庫)の一部を抜粋・編集したものです。
うつ病を発症するリスクが
高くなるのはこんな人
ストレスへの対処法としては、「身体面」「自己表現」「サポート」「物事の捉え方の転換」の主に4つのアプローチがあります。
まず「身体面」について、体の疲れは心の疲れに通じていくことを知り、こまめに疲れをとる工夫をしていくことが大切です。
たとえば、デスクワークが続き、だるさや疲労を感じたとき、ちょっとしたストレッチや深呼吸で疲労感が変わってきます。散歩や軽いジョギング、ヨガなどで体を動かすことも、疲労回復に効果的です。また、香りによって心身をリラックスさせるアロマテラピーもお勧めです。アロマテラピーは、鼻粘膜の嗅細胞から吸収された成分が大脳辺縁系に直接作用して交感神経の緊張を緩和させるため、リラックスするのに効果的です。
とはいえ、やはり基本となるのは、十分な睡眠とバランスの良い食事、そして休息です。仕事などが休める状況にないといって無理を重ねると心身ともにストレスがたまり、簡単には疲れのとれない慢性疲労やうつ病をはじめとしたさまざまな病気を誘発し、結果として長期間休まざるを得ない状況になりかねません。良い仕事をしていくためにも、きちんと体を休ませる、こまめに手入れをすることが大切だということを肝に銘じておきたいと思います。
2つ目のストレス対処法として、「自己表現」があります。周囲の期待に応えようと、自分の気持ちを抑えたり、過剰なまでにまわりに合わせようとする人は、ストレスで身体に不調をきたしたり、うつ病などを発症するリスクが高くなります。近年は職を失うことへの恐れから職場のなかで我慢し続け、自分の気持ちを抑えてしまう人も増えています。
感情を表現することで
自分自身を客観視する
このような場合、自分の感情を何かの形で表現することをお勧めします。絵を描く、楽器を演奏する、思いをノートに綴るなど、何でも良いので自分に合った自己表現の手段を見つけてもらいたいと思います。