ウォール街は債券に強い懸念を抱いている。だが今こそ債券を買う好機かもしれない。10日の米国債市場では、予想以上に好調な米雇用統計を受け、10年債利回りが4.772%と2023年11月1日以来の高水準で取引を終えた。30年債は4.962%となった。しかし、市場を不安にさせているのは、最近の利回り上昇(価格下落)の大半が、経済成長加速への期待を反映したものではないように見える点だ。むしろ、投資家が長期債保有に対してより大きなディスカウント、あるいは「タームプレミアム」を求めた結果かもしれないことが、米連邦準備制度理事会(FRB)の推計から示唆されている。一部のアナリストはその原因として、ドナルド・トランプ次期米大統領が公約した関税が世界経済を混乱させ、インフレ率を急上昇させる一方、もう一つの公約である減税が財政赤字をさらに膨らませる可能性を挙げる。