日本が口火、世界的な自動車業界再編の波Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

 従来型の自動車メーカーは行き詰まりつつある。業界に大きな変化をもたらしている二つの力に圧迫されているためだ。一つは、収益性が高かった市場を激変させた中国の電気自動車(EV)メーカーの台頭であり、もう一つは電動化への移行に伴う資金需要の高まりだ。業界には再編の波が迫る。

ホンダ と 日産自動車 が目指す経営統合はこうした流れを示す最新の例に過ぎない。ホンダの三部敏宏社長と日産の内田誠社長は昨年12月、2026年に経営統合する計画を発表した。実現すれば、世界3位の自動車グループが誕生する。ただ、この組み合わせは強さを誇示するというよりも、従来型の自動車メーカーが直面している厳しい現実を反映する面が大きい。

 両社の決断の背景にあるのが中国の存在だ。かつて世界の自動車メーカーに大きな利益をもたらしていた中国で、日産は業界の新たな現実にうまく適応できないでいる。同社の2024年4~9月の中国での販売台数は33万9000台と、2018年同期の半数以下だった。

 日産だけではない。中国で長年最も人気のある自動車ブランドだった独 フォルクスワーゲン(VW) の販売台数は、同じ期間に約4分の1減少した。VWが中国で長らく保持していた販売首位の座は、中国のEVメーカー、 比亜迪(BYD) に奪われた。

 中国のEVメーカーは、自国市場を過酷な競争の場に変えた。外国ブランドは中国市場の半分以上を占めていたこともあったが、中国の金融情報サービス大手、万得信息技術(ウインド)経由による中国汽車工業協会(CAAM)のデータによると、最近ではその割合が約30%に低下している。中国乗用車協会(CPCA)によると、ここ数カ月間に中国で販売された乗用車のうち、プラグインハイブリッド車(PHV)を含む新エネルギー車が占める割合は半分を超えた。