10年連続で算数オリンピック入賞者を輩出している彦根市発の知る人ぞ知る塾「りんご塾」。天才を生み出すそのユニークな教育メソッドを、塾長の田邉亨氏が初公開した書籍『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)が、このたび発売になった。本書を抜粋しながら、家庭でも取り入れられるそのノウハウを紹介する。

【算数オリンピック入賞者多数輩出のカリスマ塾長が教える】入学試験、大事なテスト……。子どもの大一番の前に、親が絶対にしてはいけないNG行動とは?Photo: Adobe Stock

親の気持ちの揺れはダイレクトに伝わる

 りんご塾では、算数オリンピックの直前期になると、子どもたちに次のような接し方・声かけを心がけています。
 それは、「いつも通り」ということです。

 あたかもお役所の方のように淡々と接して、「あれ? 明日は大会でしたっけ?」というような通常運転を心がけています。
 ご家庭にも、「豪華なごはんなんて必要ないですよ。納豆と野菜炒めとか、いつも通りにしてください」とお伝えしています。

 なぜなら、親の気持ちの揺れは、子どもにダイレクトに伝わるから。高校受験、大学受験までいけば、そこまで親の影響は受けないかもしれませんが、小さければ小さいほど、親がドキドキするとそれが子どもに伝わります。

親はどーんと構えておく

 自律神経の最近の研究結果によると、近くにいる人の心理状態(交感神経優位or副交感神経優位など)は、周りにも影響することが明らかになっています。

 自律神経研究の第一人者である順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生のご著書『自律神経を整える 人生で一番役に立つ「言い方」』(幻冬舎刊)によると、名医であるほど、緊急の難しい手術の前はいつも通りだそう。周りが「大丈夫だろうか」とピリピリしている中、「はいはいはい、ちょっと見せてくださいね~」というふうに、いつも通りゆっくり穏やかに対応する。そうすると、周りのスタッフも「意外と大丈夫なのかもしれない」と落ち着きを取り戻して、手術はうまくいくそうです。名医はそれを知っているから、あえていつも通りにしているのです。

 だから、子どもが大一番を迎えるとき、親は取り乱さないようにしましょう。ハッパをかけて心を動かそうとする必要もありません。むしろ子どもの心が揺れないように、どーんと構えておきましょう。やるべきことはすべてやってきたのですから。

「テスト、明日だね。忘れ物がないかチェックしておこう」。それくらいで十分です。

*本記事は、『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(田邉亨著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。