「グエー死んだンゴ」…がんで亡くなった22歳の予約投稿が、日本に“寄付の奇跡”を起こしたワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

希少がんで亡くなった22歳の若者が残した一文「グエー死んだンゴ」。その投稿をきっかけに寄付が数千万円規模まで広がった動きは、日本では極めて珍しい現象と言える。寄付文化が根付きにくい日本で、なぜこれほど大きな共感が生まれたのか。日米の背景を比較しつつ、この出来事の特異性を考える。(フリーライター 武藤弘樹)

個人の死に対して
総額数千万円規模に達する寄付

 アカウント名を「なかやま」という、希少がんと闘病していた22歳の男性が亡くなったのち、生前に予約投稿していた「グエー死んだンゴ」という一文がXにポストされると広く注目を集めた。

 その後がん研究センターなどの関連施設になかやまさんへの弔意を込めての寄付の輪が広がり、総額数千万円規模に達するほどのムーブメントとなった。

 人が亡くなっているので悲しくさみしい話には違いないのだが、なかやまさん自身の死に対する向き合い方や、それを取り巻いて広がった弔意の波紋は総じて温かいものであり、この件はネットで生まれた新たな美談として今後語り継がれていくことと思う。

 日本ではこうした大規模な寄付が行われるのは珍しい。東日本大震災や新型コロナなどの天災、災害、社会問題に対しての寄付は集まりやすいが、個人の死といったプライベートな出来事に対しての寄付はあまり行われない。

 難病を抱える子どもの医療費を集める「○○ちゃんを救う会」や、動物保護関連のクラウドファンディングは比較的お金が集まりやすい傾向にあるものの、規模は限定的である。

 そのような中でなぜ「グエー死んだンゴ」の寄付の輪はかくも広がったのか。日本における「寄付」の土壌を、寄付大国アメリカと比べることで浮き彫りにしつつ、「グエー死んだンゴ」の特異性に迫ってみたい。