経営のプロじゃなかったの?…「経営コンサルの倒産」が過去最多となったワケ【専門家が解説】「経営のプロ」といっても事業再生やDX支援、M&Aなど顧客のニーズが高度化するなかで、専門性が求められる時代に追いつくのは難しいようだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

2024年の全国企業倒産は1万6件(前年比15.1%増)と、11年ぶりに1万件を超えた。企業倒産は、コロナ関連支援策で歴史的な低水準をたどったが、資金繰り支援の縮小・終了と同時に、円安とロシアのウクライナ侵攻が勃発。物価高と人手不足が倒産を押し上げた。産業別では、10産業のうち、金融・保険業、不動産業を除く8産業で前年を上回り、幅広い産業で倒産が増えている。(東京商工リサーチ情報部 櫻井浩樹)

「経営コンサルタント」の
倒産件数が過去最多を更新

 2024年の企業倒産の特徴は、「経営のプロ」であるはずのコンサルタントの倒産が過去最多を記録したことだろう。2024年の経営コンサルタント業の倒産は154件(前年比7.6%増)で、これまで最多だった2023年の143件を上回り、過去最多を更新した。

 コンサル業界は開業資金も関係なく創業でき、特別な資格も必要ない。誰でも名刺に「●●コンサルタント」と名乗ることができる。コンサル会社は、戦略系、士業などの専門系、政策系など業務や業種により多様化し、最近ではDX支援やM&A、自治体からの補助金申請のアドバイスなど多岐に広がっている。

 新規参入は容易だが、コロナ禍を経て玉石混交のコンサルタント業界に淘汰の荒波が押し寄せている。

「経営のプロ」といっても事業再生やDX支援、M&Aなど顧客のニーズが高度化するなかで、専門性が求められる時代に追いつくのは難しいようだ。

新規参入者の増加で競争激化
倒産の大半は中小コンサル

「経営コンサルタント業」の新設法人は、2013年は5723社だったが、2023年は9465社と右肩上がりで増え続けている。

 多くのプレーヤーが新規参入する経営コンサルタント業界だが、倒産の原因別では、販売不振や既往のしわ寄せ(赤字累積)などの「不況型倒産」が102件と6割超(66.2%)を占めた。次いで、事業上の失敗が24件(15.5%)、他社倒産の余波が20件(12.9%)と続く。