2024年のコンサルティング業界の採用市場では、一部ファームで停滞感が見られた一方、新たな“台風の目”となる新興ファームが頭角を現すなど、明暗がはっきり分かれる結果となった。では、採用市場で注目を集めているその新興ファームとはどこなのか。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、コンサル業界の景況感の“バロメーター”ともいえる中途採用について、24年の動向を振り返るとともに、25年の展望について解説する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
採用市場全体は堅調も
デロイトなどでブレーキ
2024年のコンサルティング業界の採用市場を振り返ると、決して全社が順風満帆とは言えないものだった。
目立ったのが、一部のファームで生じた“急ブレーキ”だ。その一つがデロイト トーマツ コンサルティング。23年ごろからの業績低迷の余波が現在でも続く。ダイヤモンド編集部のまとめによると、23年12月に約5170人だった従業員数は24年12月に約4850人へと減少している。大幅な組織再編にも取り組んでおり、足元でPwCコンサルティングなど他社の猛追を許している状況だ。
また、戦略コンサルの雄であるマッキンゼー・アンド・カンパニーでも異変が生じた。世界経済の先行き不透明感を背景に、業界を取り巻く風向きが変化。ダイヤモンド編集部では、『最強マッキンゼーで異変!2連続で実質退職勧奨の「イエローカード評価」社員続出、「コンサル余り」も実情判明』で、“コンサル余り”と評される実情を明らかにした。
とはいえ、市場自体は堅調に拡大を続けている。
コンサル業界の景況感の“バロメーター”である中途採用市場の動向に目を向けると、「24年のコンサルの中途採用市場は、一部ファームで減速感が見られたものの、それをチャンスとみて採用を加速させる企業もあった。24年のコンサルティング業界への転職者数はおおむね昨年並みであり、印象ほど落ち込んでいるわけではない」と、リクルートの神田拓郎氏は指摘する。
つまり、不調なファームがある一方で、採用のアクセルを踏むファームもあった。コンサル採用市場での“明暗”がはっきりと分かれたのが、24年のコンサル業界の特徴と言えそうだ。
では、昨年の採用市場で好調だったファームとはどこなのか。
実は、24年の中途採用市場では、これまでの採用ボリュームゾーンであったビッグ4や日系大手の総合系ファームなど大手に伍(ご)す、「第三極」が大きく台頭してきているなど、新たな潮流が生まれている。ビジネスを急拡大させる新興ファームが、採用市場において台風の目となりつつあるのだ。
次ページでは、24年の採用市場で生じている変化に加え、頭角を現しているファームの中でも代表的な六つの実名を明かす。また、25年の採用市場の展望に加え、ファームの採用方針や求める人材の変化、報酬の動向などについても解説していこう。