「コンサル倒産急増」経営を助言する側がつぶれてどうする!独立系コンサル社長が原因究明Photo:PIXTA

経営コンサルティング会社の倒産が過去最多となった――。東京商工リサーチが2023年12月頭に発表したレポートがビジネス界を騒がせた。「DXバブル」などで業界が盛り上がり、個人経営のコンサル会社にも案件が殺到していると思われていたのだろう。だが実際は「経営を助言する側」が経営不振に陥っていたのだ。現在、業界内で何が起きているのか。独立系コンサルの現役経営者が「自己分析」する。(森経営コンサルティング代表取締役 森 泰一郎)

コンサルに「厳冬」到来!?
倒産件数「リーマン超え」

 2023年1~10月期における経営コンサルティング会社の倒産件数が116件となり、リーマンショック時の件数(09年同期の109件)を超えた――。

 信用調査会社・東京商工リサーチが12月頭にそんなレポートを発表すると、世間に驚きをもって受け止められた。コンサル会社を経営する筆者の元にも「衝撃的だ」という声が寄せられた。

 なお上記のレポートによると、22年同期のコンサル倒産件数は78件であり、ここ1年間で約1.5倍に急増したという。23年に倒産したコンサル会社のうち89.6%は、負債1億円未満の小規模事業者だとしている。

 また、くしくも本連載を寄稿している『ダイヤモンド・オンライン』では『コンサル大解剖』という特集が組まれ、大手コンサルファームの苦戦ぶりが社名を挙げて報道されている。

 その結果、読者の間では大手ですら厳しい「冬の時代」になっていることが知られ始めたようだ。中小のコンサル会社はさらに苦しい状況に置かれていると推測している人も多いだろう。

 では、実際のコンサル業界はどうなっているのか。本稿では、経営者として現場にいる者の感覚をお伝えしていきたいと思う。

中小コンサル経営者
その意外な実態とは?

 まずは「大手以外」のコンサルの実態について解説していこう。冒頭の調査でも言及されている通り、昨今は個人経営および中小のコンサル会社が増加している。そして、各社の経営層のバックグラウンドは多様化している。

 一昔前の独立系コンサルは、大手コンサルファームである程度の地位まで上り詰めた人物が集まり、複数人で起業する場合が多かった。弁護士や税理士などの難関士業の出身者が経営に関与したり、大企業の定年退職者が「顧問」のような形で参画したりするケースも見られた。

 一方、新型コロナウイルス禍を機に事業環境や働き方が変化したことによって、コンサル業界に参入する人物の属性が変化した。