アメリカでベストセラーとなり、多くの絶賛の声を集めた『Master of Change 変わりつづける人――最新研究が実証する最強の生存戦略』がついに日本に上陸した。著者のブラッド・スタルバーグはマッキンゼー出身で、ウェルビーイング研究の第一人者。この本が指摘するのは、人生を消耗させる「思考の癖」だ。本稿では、本書の内容をベースに、感情的にならず冷静に行動するための方法を紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
「自己効力感」が根本的な原因
職場や家庭で問題が起きた時に、すぐに感情的に反応してしまい、後で振り返って自分の行動を後悔した経験は誰にでもあるだろう。
また、周りを見渡すとなぜかいつも冷静で穏やかに行動できる人もいるのではないだろうか。
同じ状況に置かれているのに、なぜ人によって反応が異なるのか。
マッキンゼー出身で、ウェルビーイング研究の第一人者であるスタルバーグは、これを「自己効力感」の問題だと指摘している。
自己効力感とは、困難のさなかでも、自分は現実と向き合って意図的な行動を取れるはずだという、実体験に基づいた信念から生まれる確かな自信のことだ。
(P.248)
過去数十年の研究結果からも、自己効力感が高い人のほうが過渡期や混乱期をうまく切り抜けることがわかっている。
(P.248)
スタルバーグによれば、感情に振り回されやすい人は、心の内で、予期せぬ事態に戸惑っているという。
「自分が期待していた状況」と「現実」のギャップが大きいと、ストレスを強く感じてしまうのだ。
さらに、なぜ予期せぬ事態でネガティブな感情が表面化してしまうかというと、「自分の力でこの状況に対処できる」という自信がないからだと指摘している。
変化に対応する自信がない人は、すべてをコントロールしなければならないと思い込み、変化を脅威と感じてしまう。物事をコントロールできないと感じると、人はつい自動的に反応してしまう。
しかし、自分なら変化に対応できるはずだと自信が持てれば、徐々に平静を保てるようになる。
(P.248)
では「私は自己効力感が低い」「感情的に反応しやすい」と自覚している人にとって、何か良い方法はないのだろうか。ぜひ解決策を知りたいところだ。
安心してほしい。スタルバーグによれば、自己効力感は高めることができるという。本書には、自己効力感を高めていくための心理的作戦が用意されている。
※本稿は『Master of Change 変わりつづける人』の内容を一部抜粋・編集したものです。