人生は変化の連続だ。環境や人間関係の変化に不安を感じたり、「これまで通りでいたい」と変化を拒む経験は、多くの人にとって身に覚えがあることだろう。米国ベストセラーの話題作『Master of Change 変わりつづける人』は、変化に適応する新しい生き方のモデルを提示した刺激的な1冊だ。マッキンゼー出身の作家が、最新ウェルビーイング研究をひも解きながら、人生の転機を乗り越えた人々のエピソードを臨場感たっぷりに描く。この記事では本書の内容をベースに、「どんな場面でも存在感を発揮できる人の共通点」を解説する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

職場で「存在感がある人」と「空気になる人」一瞬で差が出てしまう決定的な要因Photo: Adobe Stock

「なぜか存在感がある人」の1つの共通点

 あなたの職場には、なぜか常に存在感を発揮している人はいないだろうか。特に声が大きかったり、目立つ行動をとるわけではないが、どんな時でもぶれずに堂々としていて、男女や年齢問わず頼りにされる人だ。

 自信がなくて周りに流されてしまう人と、いつも堂々と自分自身を表現できる人では、相手に与える印象は全く違う。

 マッキンゼー出身で、ウェルビーイング研究の第一人者であるスタルバーグは、最新刊『Master of Change 変わりつづける人』の中で、柔軟であると同時に「ぶれない一貫性」を体現する生き方が求められる時代だと語っている。

 周りと協調しながらも、流されずに堂々と振る舞うこと。口で言うのは簡単だが、それを実行するのは難しい。一体どのようにすれば、そのような振る舞い方ができるだろうか。

 スタルバーグによれば、「核となる価値観」をしっかり定めている人は、そうでない人に比べて、ぶれずに一貫性をもって行動できるという。

 人生にはコントロールできないものがたくさんあるが、できるものが少なくとも1つある。コアバリュー(核となる価値観)、すなわちあなたの根本にある信念や基本的な理念のことだ。

(P.184)

 コアバリューとは、個人が最も重要視する価値観のことだ。 何の根拠もないのに、堂々と振る舞うことなどできない。自信をもって堂々と振る舞うためには、自分の中に根拠となるものを持つ必要があるというわけだ。

 スタルバーグによれば、コアバリューには次のようなものがあるようだ。

職場で「存在感がある人」と「空気になる人」一瞬で差が出てしまう決定的な要因あなたの核となる価値観は、どんなものだろう?

不安な時、迷った時に威力を発揮する

 コアバリューは毎日の行動の指針であると同時に、難しい選択が迫られた際や不安に思うことがある際に、威力を発揮するという。

 ネバダ大学の臨床心理学教授スティーブン・ヘイズにインタビューした際、コアバリューの最大の効果はコアバリューがもたらす強さと忍耐強さにあると説明してくれた。

 周囲にあるものすべてが──不安障害の場合は自分の心も──コントロール不可能に思えても、堂々とした態度で、自分の価値観に沿った行動を取れるようになる。

(P.188)

 この価値観を自分の中でしっかり定めている人は、どんな場面でも自信をもって堂々と振る舞える。

 不安を覚えると、人は変化や不確実なものを避けたくなり、生き方が抑制されがちだ。だが、自分のコアバリューを認識しそれを信じれば──つまり、自分の中の核となる深い部分を知り、それを信じることができれば──未知の世界に向かって勇敢に前進できるだろう。

(P.188)

 本書ではこのほかにも、コアバリューを具体的な行動に落とし込む方法や、コアバリューに従って人生の転機を乗り越えた人たちのエピソードを描いている。

※本稿は『Master of Change 変わりつづける人』の内容を一部抜粋・編集したものです。