人生は変化の連続。それでも「変わりたくない」と抵抗する自分に疲れたり、不安を抱えたりすることは誰でもあるだろう。『Master of Change 変わりつづける人』は、変化をチャンスに変える新しい視点を提供する一冊だ。アメリカで大きな反響を呼び、多くの人の心を動かしたこの本がついに日本上陸。ここでは本書から一部を抜粋し、「変化」と「安定」のバランスを見つけ、自分らしい生き方を取り戻す考え方を紹介する。
「二者択一」で悩んでいたら、視野が狭まっている証拠
世の中には白黒はっきりしているものがあるが、多くのものは白でもあり黒でもある。こうした考え方を非二元論と呼ぶ。
世の中は複雑でそれぞれに異なる背景があり、真実はしばしば逆説や矛盾の中で見つかる。
たとえば、意志決定を下すのは理性か感情のいずれかではない。その両方だ。
たくましさとは、自己鍛錬か自分を思いやる気持ちのいずれかではない。その両方だ。
目標に向かって努力して前進する秘訣は、勤勉か休息のいずれかではない。その両方だ。
「これかあれのいずれか」ではなく、「これでもあり、あれでもある」ということだ。
本書で登場する人々に共通する生き方は「ぶれない柔軟性」だ。
状況を安定させて、二度と変化が起こらないようにすることではない。あらゆる安定感をあきらめて、人生の気まぐれに降伏し、身を委ねることでもない。
むしろこれらの性質を統合させ、断固とした態度を取るべき時にうまく取り、順応すべき時にうまく順応する方法を理解することだ。
自分の知識や経験を最適な場所で発揮させる
非二元論思考は重要な概念だ。にもかかわらず、ひどく誤解され、転機を含めた人生のさまざまな局面において役立てられていない。
ノーベル経済学賞を受賞した心理学者のダニエル・カーネマンはかつて学生にこう言ったという。
「誰かから何かを聞いたら、それは本当だろうかと自問するのではない。それは何の真実の一部だろうかと自問しよう」
他にも、こう自問すると役立つだろう。
「今現在、この考え方・アプローチは役立っているか?」
答えがイエスならそれを続けよう。答えがノーならやり方を変えてみよう。この問いの答えは時間の経過と共に変化していくだろう。それで構わない。
非二元論思考を意識すると、多くの概念や戦略は役に立つが、いつか邪魔になる日が来ることに気づく。
知識と知恵を区別しよう。知識は何かを知っていることであり、知恵はそれをいつ、どうやって使うかを知っていることだ。
※本稿は『Master of Change 変わりつづける人』の内容を一部抜粋・編集したものです。