尹大統領逮捕にまで発展
深刻な保守派と進歩派の分断・対立
韓国が“内乱状態”と言ってもいい状況だ。
1月15日には、「非常戒厳」宣布をめぐり、「内乱罪」での捜査や弾劾決議で職務停止の最中にあった尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、捜査当局に拘束され、19日には逮捕状が執行された。
弾劾や身柄拘束に反対する保守勢力と大統領の弾劾罷免に賛成、逮捕を求める進歩派勢力との対立が、武力衝突に発展する可能性もささやかれていた中で、尹氏は声明で、「不法捜査」と強い不満を表明しながら、「流血の事態は避けたい」として拘束に応じた。
だが、今後、高位公職者犯罪捜査庁(高位公職者犯罪捜査処)などの捜査がどう進むのか、また14日から始まった弾劾裁判所の審理がどうなるかも見えない状況だ。弾劾・罷免となれば、総選挙になるが、与野党の抗争、保守派、進歩派の分断・対立は激しいものになると予想される。
いつも騒がしい韓国ではあるが、この混乱をうまく収拾できなければ、韓国は壊れるかもしれない。
一方で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記にとっても今年は勝負の年となるだろう。統一路線の放棄、そしてロシアとの連携強化、ウクライナ戦線への派兵と、独自路線を進めてきたが、米国では「自国優先」を掲げるトランプ新政権が発足し、国際政治の流れは変わる可能性がある。
核開発問題などで米国との関係や、中国に代わり後ろ盾になりつつあるロシアとの関係をどこまで深められるか、一歩間違えれば、体制が一気に不安定化することもあり得る。