北朝鮮の「ロシア派兵」は朝鮮半島の軍事バランスも変える!?北朝鮮、ロシアのウクライナ戦争への関与、そして6月に下着メーカーを通じて北朝鮮への資金移動を斡旋したとして収賄罪で起訴された野党党首の李在明氏に対してデモを行った韓国の市民 Photo:Chung Sung-Jun/gettyimages

「地政学的変化」に対応できるか
政権基盤弱い日韓、不確実性高いトランプ政権

 アメリカ国務省は11月12日、ロシア西部のクルスク州で北朝鮮の兵士がロシア軍とともにウクライナ軍との戦闘に参加したことを明らかにした。

 1万人以上の北朝鮮軍兵士がロシアに派遣されたことは報じられてきたが、アメリカがロシア軍との軍事作戦で北朝鮮兵士の戦闘参加を確認したのは初めてだ。

 派兵は6月にロシアと北朝鮮が締結した包括的戦略パートナーシップ条約にもとづき、露朝が安全保障で相互に支え合うものだ。

 だが、ロシアと北朝鮮の関係緊密化は、中国と北朝鮮の従来の関係に微妙に影を落とし、中国自体も経済の停滞の長期化から社会不安の兆しが出ている。

 一方で、2年余を残す韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の支持率低下や総選挙敗北で少数与党となった石破政権の先行きの不透明、第1期政権より一層過激化が予想される「トランプ2.0」の出現など、東アジアをめぐる地政学的変化が一段と強まった。

 今後の進展次第では重大な危機、特に朝鮮半島での衝突の序曲となりかねないことに注意が必要だ。

露朝軍事協力は「ウィン・ウィン」
「朝鮮有事」では核大国ロシアが後ろ盾

 現在進行形で起こりつつある地政学的変化は、日本を取り巻く地域の不安定化に直結する。

 韓国の尹政権が、前政権の対北朝鮮融和政策からかじを切り、日米韓の安全保障面の連携を強めていく中で、北朝鮮の金正恩政権は対韓国政策で対決色を強めている。